内容説明
ヨーロッパ古代世界に最大の版図をもち、多年隆盛を誇ったローマ帝国はなぜ滅びたのか。この「消えることのない、永遠の問い」に対する不朽の解答―18世紀イギリスの歴史家E・ギボンの名筆になる大歴史書の完訳。アラビア半島の一隅に鳴りをひそめていたアラブ人勢力が予言者マホメットの奉じるイスラム教の下に興起し、東西ヨーロッパ各地に侵入を開始する。激動の時代とその状況を描ききる話題の一巻。
目次
第50章(アラビアとその住民の概況;マホメットの生誕、性格、教義 ほか)
第51章(アラブ別名サラセン人によるペルシア、シリア、エジプト、アフリカ、スペインの征服 ほか)
第52章(アラブ軍による二度のコンスタンティノポリス攻囲 ほか)
第53章(十世紀の東帝国の状況 ほか)
第54章(パウロ派の起原と教義;歴代ギリシア皇帝の彼らへの迫害 ほか)
第55章(ブルガリア人;ハンガリー人の出自、移動と定住 ほか)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アミアンの和約
16
副題の通り、イスラム勢力が中心の巻。それまで歴史の脇役だったアラブ人がムハンマドというカリスマを得て、ついに歴史の中心となる。ビザンツ帝国はイスラム勢力から穀倉地帯シリアとエジプトを奪われ、領土はギリシア周辺のみとなる。そのためか、この巻から「ギリシア帝国」という呼称が登場する。2023/04/28
刳森伸一
3
本巻はサラセン帝国(イスラム帝国)の興隆史ともいうべき内容になっており、ローマ帝国は脇役。アラビア半島から興ったサラセン帝国がペルシアや東ローマ帝国の多くの都市を征服し、さらにエジプトなどの地中海のアフリカ側を経由してスペインにまで領土を広げる様子がドラマチックに描かれている。イスラム教徒への偏見も少なく好感が持てる。それ以外にも、ブルガリアやハンガリー、ロシアといった国々との交流や争いなども書かれていて、ローマ帝国が「グローバリズム」の中で四苦八苦している様子がひしひしと伝わる。2017/02/04
Βουλγαροκτόνος
1
【ムハンマド登場〜11世紀頃】まさに「外伝」。イスラム勢力を扱った第51・52両章があまりに長いため、正直読んで飽きる。初期イスラムvsヘラクレイオスだと、ヤルムーク戦くらいしか見どころがないため、当然か▼また、ブルガリアについては、バシレイオス2世によるトラヤヌス門、クレディオン等有名な戦いが多いのに、記述が薄いのが残念▼7巻で通史的な部分は記述が終了し、個別テーマに終始している巻であるが、その割に内容の完成度は低い。2023/05/27
かわかみ
1
アラブの地にも教会が進出し、聖書がアラビア語に翻訳された土壌のもとに、マホメットが啓示によりユダヤ教、キリスト教を包含した新たな宗教を創始した。イスラム教で緩やかに統合されたアラブ人は征服により、ペルシャ、シリア、エジプト、アフリカ、スペインに至る広大な版図を占めるに至った。しかし、コンスタンティノープルは落とせず、カール・マルテルにトゥール・ポワティエ間の戦いで敗れた。そしてアラブの栄華と裏腹にトルコ人親衛隊がカリフから実権を簒奪するに至る。他方、ヨーロッパでフランク王国は10世紀初めには分裂した。2021/08/29
Cinejazz
0
東ロ-マ帝国の衰退へと繋がるイスラム教世界。2017/11/18
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- 和書
- ウィニング・ボールを君に