内容説明
「普通の人間」は、どうして殺人鬼へと化したのか。父母は家族は、そして恋人は、彼らにどう関わったのか…。児童惨殺、実子虐待、同僚絞殺、さらには通り魔。日毎起きる惨劇、連鎖する狂気。凶行に手を染めた常人の、その背後で薄笑いを浮かべる影が蠢く。業か、因果か、偶然か。今もまた、どこかで羅刹が羽化をする―。全身怖気立つノンフィクション集。好評シリーズ第二弾。
目次
第1部 腐臭漂う棲家で鬼は呱々の声を上げる(皆殺しを謀った男の父が語る「わが闘争」―大阪「池田小」児童殺傷事件;息子を嬲り殺した「鬼女」のおぞましき血―尼崎「実子虐待」致死事件;家族の連帯は「玩具」を手にして生まれた―伊勢崎「主婦暴行」餓死事件)
第2部 青白きその微笑みの下で殺意が芽吹く(炭化した「下半身」が炙り出す黒い影―恵庭「社内恋愛」絞殺事件;看護婦を手玉に取った「優男」の捩れた愛情―埼玉「略奪愛」殺人事件;「心優しき少年」はなぜ兄の胸に刃を立てた―名古屋「十七歳双子」刺殺事件)
第3部 放たれし獣は獲物を求めてさすらう(繁華街を暴走した新聞配達員の「暑苦しい夏」―池袋「通り魔」連続殺傷事件;憎しみに塗れた「無期囚」が首を吊るまで―奈良「月ヶ瀬村」拉致撲殺事件;高速道で轢死した少女が夢見た「家族の情景」―神戸「女子中学生」手錠放置事件)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
GAKU
61
宅間守の「大阪教育大学附属池田小」児童殺傷事件を始め、九つの事件を「新潮45」編集部がルポしたノンフィクション。著者の憶測ではないかと感じる記事もあり、全てを鵜呑みにする事は出来ないが、後味の悪い事件ばかりです。これらのケースだけで決めつける事は出来ないが、加害者の家庭、家族はもともと荒んでいる印象が強い。犯罪者というのはやはり、環境によってつくられすのでしょうか?2016/11/22
坂城 弥生
27
ノンフィクション第二弾。2021/10/06
ぽこぺん
18
犯人の育ってきた環境が良くないというのは否めない。ただそれでも真っ当に生きている人たちが大半なはず。真相は藪の中といったケースもあったりで、残された遺族の気持ちは推し量れない。2024/05/28
小鈴
17
90年代後半から00年代はじめの事件。大きな事件があると新潮45を読んでいた時代があった。だけどいつしか雑誌は読まなくなり、ネットで事件ネタを読むようになった。最初の章の宅間守の父親の独白の凄み。奈良県月ヶ瀬村事件はニュースで見た記憶があるが、村八分が残る近世社会のような村の事件だったのは驚きだ。未だに土葬が残り(二墓制)、被害者も土葬された。恵庭OL事件は、道知事選にも出馬した弁護士の伊藤秀子が弁護したことで記憶に残っているが、こんな事件だったとは。事件が雑誌で特集されて売れた時代が確かにあったのだ。2018/11/09
林 一歩
17
記憶に新しい事件ばかり。気分が沈む。2013/10/31