新潮文庫
血の味

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  • サイズ 文庫判/ページ数 300p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784101235141
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

内容説明

「中学三年の冬、私は人を殺した」。二十年後の「私」は、忌まわしい事件の動機を振り返る―熱中した走幅跳びもやめてしまい、退屈な受験勉強の日々。不機嫌な教師、いきり立つ同級生、何も喋らずに本ばかり読んでいる父。周囲の空虚さに耐えきれない私は、いつもポケットにナイフを忍ばせていた…。「殺意」の裏に漂う少年期特有の苛立ちと哀しみを描き、波紋を呼んだ初の長編小説。

著者等紹介

沢木耕太郎[サワキコウタロウ]
1947(昭和22)年、東京生れ。横浜国大卒業。ほどなくルポライターとして出発し、鮮烈な感性と斬新な文体で注目を集める。『若き実力者たち』『敗れざる者たち』等を発表した後、’79年、『テロルの決算』で大宅壮一ノンフィクション賞、’82年には『一瞬の夏』で新田次郎文学賞を受賞。常にノンフィクションの新たな可能性を追求し続け、’95年、檀一雄未亡人の一人称話法に徹した『檀』を発表
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ミカママ

474
ずっと心をワサワサ揺さぶられた。ミステリーであり、ジュブナイルであり、わたしにとってはオカマ(本文ママ)の元ボクサーの恋愛小説でもある「純文学」。初っ端からめちゃくちゃカッコ悪いオカマ氏の、主人公への想いにもっていかれてしまった。ラスト、わたしの知りたかったことは何ひとつ解決していないが、沢木耕太郎なので許す。2022/06/20

じいじ

91
先般読了のエッセイ『246』で知り、読んでみたくなった。ノンフィクションの名手が初めて挑む《長編小説》の上に、テーマが《少年の殺人》という軽軽には論じられない重いテーマなので、いやが上に緊張した読み始めになった。「私は人を殺した」の度肝を抜く書き出しで幕が上がる。とにかく、少年の意志の強さに引き込まれる。刑事、検事、家裁調査官…にも「わからない!」を頑なに言い続ける。最終章の36頁で、モヤモヤした気持ちが幾分かは晴れた気がするし、読んで良かったと合点がいった。2022/01/13

46
なんか、すごいものを読んじゃったなっていうのが一番に思ったこと。共感できるような過去があるわけでもないのに、読んでいるうちに彼の心が直接流れ込んでくるようだった。意味があるのかないのかわからないような、そんな毎日の中の苛立ちや無気力さ。彼がなぜ人を殺めてしまったのか、そこは漠然としていて、父親と彼が言う「あそこ」を私は理解できなかった。でも今はそれで良かったのかもしれない。人の心は複雑で、言葉にしようと思うとなかなかうまくいかない。でもそんな感情を、少しだけこの本の中で掴みかけた気がする。2015/10/19

みやけん

40
★★★☆☆お友達からのお勧め本。沢木耕太郎は初読みでした。スタートは深夜特急だと思っていたらお友達曰くそうではないらしい。ディープな世界です。ずっと読んでいたら引き込まれそうで怖くなった。道を踏み外すのは簡単なことだと。ただの発作的な殺人と一言で表すことは出来ない。もう少し父親の描写があれば。揺さぶられました。2017/10/11

遥かなる想い

38
沢木耕太郎にしては失敗では? 2010/05/08

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