内容説明
日本統治下の朝鮮・密陽に生を受け、マラソンでの五輪出場を目指した亡き祖父・李雨哲。そのうしろ姿を追い、路上を駆けることを決意した柳美里。ふたりの息づかいが時空を越えて重なる瞬間、日本と朝鮮半島のあわいに消えた無数の魂が封印を解かれ、歴史の破れ目から白い頁に甦る。偉丈夫の雨哲と美丈夫の弟・雨根。血族をめぐる、ふたつの真実の物語が、いま日本文学を未踏の高みへと押し上げる。
著者等紹介
柳美里[ユウミリ]
1968(昭和43)年、神奈川県生れ。高校中退後、「東京キッドブラザース」を経て、’88年、演劇集団「青春五月党」を結成。’93(平成5)年、『魚の祭』で岸田國士戯曲賞、’96年、『フルハウス』で野間文芸新人賞、泉鏡花文学賞受賞。翌年『家族シネマ』で芥川賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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