内容説明
日本統治下の朝鮮・密陽に生を受け、マラソンでの五輪出場を目指した亡き祖父・李雨哲。そのうしろ姿を追い、路上を駆けることを決意した柳美里。ふたりの息づかいが時空を越えて重なる瞬間、日本と朝鮮半島のあわいに消えた無数の魂が封印を解かれ、歴史の破れ目から白い頁に甦る。偉丈夫の雨哲と美丈夫の弟・雨根。血族をめぐる、ふたつの真実の物語が、いま日本文学を未踏の高みへと押し上げる。
著者等紹介
柳美里[ユウミリ]
1968(昭和43)年、神奈川県生れ。高校中退後、「東京キッドブラザース」を経て、’88年、演劇集団「青春五月党」を結成。’93(平成5)年、『魚の祭』で岸田國士戯曲賞、’96年、『フルハウス』で野間文芸新人賞、泉鏡花文学賞受賞。翌年『家族シネマ』で芥川賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ヴェネツィア
386
巻頭に4世代の系図が掲げられる。その末端にいるのが柳美里である。それに続くのが美里の前に巫女たちに呼び出された祖霊たちとの会話劇。そして、美里のフル・マラソン挑戦と続き、その後にいよいよ1925年4月7日にはじまるクロニクルが展開する。本書は朝鮮民族の、そこに連なる自らの一族の、そして柳美里自身のアイデンティティを根底から問い直そうとする壮大な試みである。巻末に掲げられた膨大なといってよい参考文献群もまたそのことを証査している。上巻では日帝時代の朝鮮の人々の「心」が描かれる。柳美里畢生の大作になりそうだ。2020/08/15
kera1019
11
柳美里さんが自身のルーツを書いた小説ですが、日本支配下の韓国で暮らす人たちの愛情、恨み、欲、恐怖など、感情がとても生々しくて自身をさらけ出す小説以上の衝撃がありました。2017/11/01
Masakazu Fujino
10
柳美里の曾祖父から始まる一族をモデルにした大河小説。凄まじい力作。下巻へ続く… 2023/12/21
こうちゃん
9
こりゃダメだ。ややこしすぎて話が入ってこない。 他に読みたい本がたくさんあるので、我慢してまで読もうとは思わない。リタイアします。2023/01/18
たまご
8
8月の熱気にあてられる読書を.下巻へ.2024/12/08
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