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新潮文庫
偽りの薬―降圧剤ディオバン臨床試験疑惑を追う

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  • サイズ 文庫判/ページ数 336p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784101216065
  • NDC分類 499.4
  • Cコード C0195

出版社内容情報

きっかけは1通のメールだった。〈論文不正〉──。製薬業界で売上高世界トップクラスに君臨する巨大企業・ノバルティスファーマ。同社の降圧剤ディオバンは脳卒中や狭心症をも抑えるとして売上累計 1 兆円超の大ヒット薬であった。だがその原点ともいえる臨床試験に疑義が呈されたのだ。飛び交う札束。操作されたデータ。偽りに満ちた効果……。製薬企業と大学病院の癒着を暴くドキュメント。

河内 敏康[カワチ トシヤス]
著・文・その他

八田 浩輔[ハッタ コウスケ]
著・文・その他

内容説明

きっかけは1通のメールだった。“論文不正”―。製薬業界で売上高世界トップクラスに君臨する巨大企業・ノバルティスファーマ。同社の降圧剤ディオバンは脳卒中や狭心症をも抑えるとして売上累計1兆円超の大ヒット薬であった。だがその原点ともいえる臨床試験に疑義が呈されたのだ。飛び交う札束。操作されたデータ。偽りに満ちた効果…。製薬企業と大学病院の癒着を暴くドキュメント。日本医学ジャーナリスト協会賞大賞受賞。

目次

第1章 疑惑(「懸念」;医師の指摘 ほか)
第2章 スクープ(企業の関与は;突然の辞職劇 ほか)
第3章 不正(データ操作;迷走 ほか)
第4章 薬とカネ(検討委始動;「肩書は都合よかった」 ほか)
第5章 立件(厚労省の告発;新たな疑惑 ほか)

著者等紹介

河内敏康[カワチトシヤス]
1970(昭和45)年愛知県生れ。’97(平成9)年、毎日新聞社に入社。千葉支局、科学環境部などを経て、毎日新聞東京本社医療福祉部副部長

八田浩輔[ハッタコウスケ]
1979(昭和54)年広島県生れ。2004(平成16)年、毎日新聞社に入社。京都支局、北陸総局、科学環境部、外信部などを経て、毎日新聞ブリュッセル支局特派員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ろくせい@やまもとかねよし

109
人間の利己と利他の軸では近現代に科学は利他性へ追求が期待されるが、それを無視し、人間個人の自己の名誉や欲求を満たすために、詐術による似非科学を用いた事件を告発した記録と感じた。資本主義では売り上げをあげたい薬品会社と実績をあげたい学術研究者との相利を資本がつなぐが、本事件の最大の問題は「うそ」。深刻なのは「うそ」の実験データが、会社の営利追求と性善的な学術研究の構造的関係上で黙認されたこと。金科玉条と崇められる科学であるが、それは利己性と利他性をあわせもった人間が行うものであることを再認識すべきか。2019/03/23

hatayan

14
製薬企業の社員が大学医学部の臨床研究に関与、自社の医薬品に有利なデータをねつ造したと疑われる事件が、毎日新聞の取材から明るみになりました。 大学の研究室は企業からの寄付金が頼りで、薬効を宣伝する論文を載せれば研究者にも企業にも利益になるという、いつ癒着や不正が起きてもおかしくない土壌があります。 文庫版では裁判の結果が追記されており、データの改ざんは認められながらも、当事者は無罪という信じがたい判決が下されます。 薬を使う患者、医療費を負担する医療保険がないがしろにされている感を強くします。2018/11/10

みこ

12
マスコミの報道姿勢に問題があるのか次から次へとニュースへの関心を移してしまう我々に問題があるのかどことなく知りきれトンボに終わった事件。発覚前から真相を暴こうと奔走した記者の視点で描かれることで概要が見えてくる。 ただ、この記者たちは少々正義感が暴走してないだろうか。降圧剤としては有用なディオバンの市場規模を考えるとどれだけの医師が例の論文を参考に処方しているかは疑問である。彼ら処方医から「この論文を参考にしてディオバンを患者に投与した」というアンケート調査でもしない限り記者たちの正論は耳に届かない。2018/09/19

ふたば

11
患者は、その薬がどのように開発されたのかを知る機会はほとんどない。新薬が発表されるときに、どんなにデータを提示されたとしても、そのデータの整合性や、妥当性などわかろうはずもない。わかりもしない結果でも、開発者や医師が「良い」と言うから「良いのだ」と思うのだ。医師や、研究者が善意をもって、真剣に開発していると信じているものが、このように裏切られるというのは非常に残念だ。判決が出てもなお、この問題はどこか不透明さを残し、結局真実がわからないままになってしまったように思う。2018/09/09

A.Sakurai

10
ディオバンの事件はあまり記憶にない。STAP事件に隠れてしまったのだろう。製薬会社主導の臨床試験やプロジェクトが医療を歪めてしまう危険性はSTAPより直接的なリスクではあるものの、アルアルなのも容易に想像がつく。だから、本書はこの事件の解明というより、製薬会社と医学会の癒着構造の告発に力点を置いている。文庫版では薬事法違反裁判の結果が追加されている。事実関係は全て本書にあったストーリー通りと認められながら無罪判決。この脱力するようなオチが皮肉にも問題の深さを顕わす効果を出している。2018/10/22

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