出版社内容情報
銀(しろがね)の光を見つけた者だけが、この地で生きられる――。父母と生き別れ、稀代の山師・喜兵衛に拾われた少女ウメは、石見(いわみ)銀山の坑道で働き始める。山に穿(うが)たれた深い闇に恐れと憧れを抱きながらも、そこに女の居場所はない。熱く慕う喜兵衛や、競うように育った隼人を羨むウメだったが、勢いを増すシルバーラッシュは男たちの躰(からだ)を蝕(むしば)んでゆく……。生きることの苦悩と官能を描く、直木賞受賞作。
【目次】
内容説明
銀の光を見つけた者だけが、この地で生きられる―。父母と生き別れ、稀代の山師・喜兵衛に拾われた少女ウメは、石見銀山の坑道で働き始める。山に穿たれた深い闇に恐れと憧れを抱きながらも、そこに女の居場所はない。熱く慕う喜兵衛や、競うように育った隼人を羨むウメだったが、勢いを増すシルバーラッシュは男たちの躰を蝕んでゆく…。生きることの苦悩と官能を描く、直木賞受賞作。
著者等紹介
千早茜[チハヤアカネ]
1979(昭和54)年、北海道生れ。立命館大学卒業。幼少期をザンビアで過ごす。2008(平成20)年、小説すばる新人賞を受賞した『魚神』でデビュー。’09年、同作にて泉鏡花文学賞、’13年、『あとかた』で島清恋愛文学賞、’21(令和3)年、『透明な夜の香り』で渡辺淳一文学賞、’23年、『しろがねの葉』で直木賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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エドワード
43
安土桃山時代の石見国、石見銀山。貧農の娘、ウメは一家で逃亡中、銀山の喜兵衛に助けられ、一緒に暮らす。喜兵衛は銀山の全てを知る男。少女のウメは下働きから始め、夜目が利くので、間歩(鉱道)で銀を掘る。現実にあった銀山が、千早茜さんの筆致で描かれ、実にファンタジックな異世界となる。地図を逆さに見ると、石見国は大陸への玄関口だ。異国人のヨキ、青い目の龍、遊女たち、多彩な人々が銀山で暮らす。男は間歩で銀を掘り、女は生活を支える。時は流れ、ウメは銀堀の隼人の嫁となり子供を産む。銀山の人々から頼られるウメの生涯は尊い。2025/07/20
misa*
38
読友さん達大絶賛なこちらの作品。図書館で借りようと思ってたけど、手元に残しておきたくて購入。時代小説は過去にも1シリーズくらいしか読んだことなくて苦手意識が強かったけれど、すっごい引き込まれた。スマホで調べながら脳内で噛み砕いての読書は新鮮だったし、なんていったってウメの強さと女としての葛藤、愛、様々な想いが駆け巡ってきて、感想を書くのがとても難しい。最後の最後まで、ウメらしく生きていく様は、とても誇らしく思えた。とても素敵な読書時間だった。2025/07/30
Shun
35
時代はおよそ戦国末期から江戸時代初期、銀の産出に沸く石見銀山に一人の少女が逃れてくる。故郷の村は貧しく親と共に夜逃げしてきた少女ウメは、親とはぐれ孤独になりながらも偶然手にしたしろがね色の羊歯の葉が発する光に導かれたかのように銀山で働く山師・喜兵衛に拾われる。銀山に魅入られたウメもまた男の中に混じり銀堀りの道を歩むが、次第に女の身では避けられない障壁に阻まれてしまう。後にウメは銀山で働く男たちが毒に蝕まれ早死にし、女たちは子を産み次代へと繋いでいくという銀山の在り方を悟り、生きることの意味を求めていく。2025/08/13
イシカミハサミ
22
第168回直木賞受賞作。 父と娘。 母と娘。 疑似的な関係性だからこその本物と、幻想。 時は江戸時代のはじまりのとき。 銀山を舞台に女の人生を描く。 暮らしのために働くこと。 命を繋ぐために家を守ること。 どちらも人生なわけだけれど。 どうしても分断があるのかな、と考える。 任せきりにしていた時代から、 両輪を上手く回せる時代へ。 まだ変化は道半ば。2025/07/23
senkagi
15
私も娘がいるが、ウメのような人生を歩む姿はとうてい考えられなかった。ただ昔は子沢山で幼稚園ぐらいの子が赤ちゃんの面倒をみていたという祖母の話を思い出し、ありえる話だと思った。銀山の事をよく調べ上げ、とてもリアリティがあり読んでいて引き込まれた。私は最近の漫画のような小説の真逆の作品を欲しているのだろう。2025/08/02