内容説明
鳥取藩士・深尾角馬は短躯ゆえの反骨心から剣の道に邁進してきた。いまでは藩の剣法指南役も勤め、藩主の覚えもめでたき身。しかし姦通した新妻を、次いで後妻をも無残に斬り捨てた角馬の狂気は周囲を脅かす。やがて一人娘・ふきの不始末を知った時、果たして角馬の胸中に去来したものは…。紅牡丹を愛し、雖井蛙流を起こした剣客の凄絶な最期までを描き切った異色の長編時代小説。
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時代小説大好き本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ふじさん
94
深尾角馬は、短軀な男で反骨心が強く、二度にわたり不密通の妻と間男を切り捨て、娘の縁談がこじれた原因で相手方の父子を一刀のもとにを切り捨て、最後はその責任を取り切腹。限りなく紅牡丹を愛し、無骨に生き剣客の壮絶な生き様を最後までを妻や娘の目を通して描いた異色の時代長編小説。丁寧な取材や資料を読みで、深尾角馬の心の闇を存分に描いている宇江佐真理の力作。孤高の剣客、真の侍ここにあり。 2021/06/04
優希
86
実在の人物を登場させて描いた異色の時代小説という印象でした。牡丹を愛し、深尾紅と名付けているのが麗しかったです。ただ、何とも言えない読後感の作品でした。姦通のために妻を斬り殺すという狂気。真の侍魂がそうさせたのかもしれませんが、その後も娘の不始末相手の父や兄弟まで討つというのはどういうことかと思えてなりません。最期は凄絶だと思いますが、剣に向ける生き方や牡丹の愛し方に狂気を感じました。どうも好きになれない作品です。2016/01/19
ぶんこ
56
最初から最後まで好きになれませんでした。 角馬もふきも、ふきの母かのも好きになれない。 頑固で短慮。 後先考えない結果が起こした自業自得。 天晴れな剣豪とも思えない。 実在の人を書いたからか、説明も多く、かなり斜め読みしました。2016/01/13
KEI
32
どっしりとした時代小説で読了まで時間が掛かった。実在の剣豪・深尾角馬の剣に向ける生き方や深紅の牡丹への思い入れは、家族から見れば狂気にも思えたのかも知れない。角馬の人の愛し方、表し方が下手だったのは、その生い立ちにもあるが、妻を不貞へ走らせた事は角馬の足りないところだと感じた。作者は深尾を見事な武士、世に伝えたい人物として本書を書いたと後書きにあったが、角馬の最期は見事だと思うものの、愛すべき主人公とは思えなかった。妻・かの、娘・ふきの視線で描かれていたのは、作者が女性ならではの描写で良かった。2015/05/24
ゴルフ72
30
鳥取藩士深尾角馬の人生!この小説での感想は真っ二つに分かれるかも知れない。剣法の指南役とは言え、あまりにも身勝手な故に新妻かのの寂しさを図れず、また後妻をも自らの手で殺してしまう・・・何ともはや!そんな半面主題となった牡丹の花を異常なまでに愛する、そんな角馬をどう思うか?実在の人物とは言え私には受け入れがたかったのが正直な気持ちです。宇江佐先生の作品はやはり江戸の町民が主役で良いと思う。2021/06/22
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