感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
たち屋たちや
10
古書お楽しみパック2020/04/02
qoop
8
たとえるなら冬の早朝の寒さ。痛みが高じて感覚がなくなりつつある皮膚の下で、だから余計に血流の脈動を意識する。あるいは外界から内奥へと沈潜して言葉の届かない深みを言葉で探ろうと足掻く様子。痛みそのものが分かる訳ではないが、共感は覚える。/父の胃に物差し当てゐし医師の手に測れぬもの等なからざらむよ/真剣というより深刻砂の城たててはこはす子の眼差しは/恋愛と信じてゐたる感情を依存と位置づけられし日、いそん/閉鎖病棟の七時の朝食のBGMに『小さな世界』/リスペリン、クエチアピンにビペリデン、我を生かしてくれよ初雪2021/01/03
わいほす(noririn_papa)
6
著者は生きていくことに苦しんでおり、その救いとして短歌がある。著者の心の傷が短歌という形式の変圧器によって昇華され、紡がれた言葉には鋭い感性が光る。しかしそれを純粋に楽しんでよいのか不安になる。治療に関連しない歌をいくつか。もう二度と逢へない人の貌をして或る日するりと降りてくる蜘蛛/言へなかったことばは川を下りゆき汽水となりて頬を伝へり/待つ人のやうに見送つてゐるやうに立葵咲く風のバス停/校正の部屋の窓辺の百日紅ああイキてゐるそのママである(校正の「イキ」「ママ」の赤字と窓辺の百日紅の赤の対比が可笑しい)2023/11/17
warimachi
3
「動かなくなるまで蟻を泳がせし赤きバケツの赤き水かな」「あの虹の青と緑が好きだけど「赤」と答へた方が良かつた」2019/04/10