出版社内容情報
未来から来たという、たんぽぽ色の髪の女。「おとといは兎を見たわ、きのうは鹿、今日はあなた」名作の改訳決定版を収録する傑作選。
【著者紹介】
1915年、ニューヨーク州生まれ。53年、デビュー。F&SF誌やサタデー・イブニング・ポスト誌などに200編近くの短編を発表。1986年没。短編集に『ジョナサンと宇宙クジラ』『ピーナツバター作戦』。
内容説明
たんぽぽ色の髪が風に舞う、未来から来た女はいった。「おとといは兎を見たわ、きのうは鹿、今日はあなた」…SF作家ロバート・F・ヤングは、生涯で約二百作の短編を遺した。その魅力を日本で初めて紹介した名訳者・伊藤典夫の編集でおくる、甘く切なく美しいヤング傑作選。永遠の名作「たんぽぽ娘」改訳決定版の他、全十三編。
著者等紹介
ヤング,ロバート・F.[ヤング,ロバートF.] [Young,Robert F.]
1915‐86年。ニューヨーク州生まれ。SF作家。太平洋戦争で3年半の従軍後、地元で職を得て創作を始め、37歳でデビュー。代表作は短編「たんぽぽ娘」。約200作の短編と5作の長編を遺した
伊藤典夫[イトウノリオ]
1942年、静岡県生まれ。早稲田大学第一文学部中退
深町眞理子[フカマチマリコ]
1931年、東京生まれ。東京都立忍岡高等学校卒
山田順子[ヤマダジュンコ]
1948年、福岡県生まれ。立教大学社会学部卒(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 4件/全4件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
へくとぱすかる
147
超有名なタイトル作の他にも、ボーイ・ミーツ・ガールをテーマにした作品は心が温かくなる。特に「河を下る旅」、次に「ジャンヌの弓」がいい。ハッピーエンドは定番的かもしれないが、読者としては、「だから」それを望むのである。「特別急行がおくれた日」は鉄道ファンにはたまらない作品。遺作「荒寥の地より」は、ラスト1ページでちょっと立ち止まり、1分後にその含意がわかって、思わず「そうか!」と心で叫んだ。2019/01/14
新地学@児童書病発動中
147
屈指の名作SF短編である表題作を含むロバート・F・ヤングの作品集。ヤングは気恥ずかしくなるようなロマンチストなのだと思う。少年が少女に出会って恋に落ち、その恋が永遠に続くことを信じると言ったら、吹き出してしまうがヤングの作品には、そのような純粋な面がある。「たんぽぽ娘」では、中年の男性がたんぽぽ色の髪をした少女に出会って、恋に落ちる。彼女はタイムトラベルで未来からやって来たのだ。少女もその男を好きになり、印象的なリフレイン「おとといは兎を見たわ、きのうは鹿、今日はあなた」を繰り返す。二人の恋は切ない→2017/02/20
bookkeeper
104
★★★☆☆ 初読。「河を下る旅」筏で河を下る男が旅の道連れの女性と知り合う。どこか不自然な旅の結末は…。「たんぽぽ娘」田舎の丘で知り合ったたんぽぽ色の髪の女。主人公は、彼女と毎日逢って話すのを心待ちにし始める。「主従問題」田舎町の家屋の売却を委託した犬を連れた女。住人達は何処へ消えたのか。 男女の恋愛の香気漂うSF短編集。「ビブリア古書堂」でも紹介された表題作以外も、ほんわかしたお話しが多くて安心して読めます。解説によると、長編は全てダメらしい(笑)。 「おとといは兎をみたわ、きのうは鹿、今日はあなた」2020/02/12
優希
92
ノスタルジックなSF短編集でした。短編映画になりそうな情景の浮かぶ幻想的な世界に惹き込まれます。爽やかで可愛い作品が沢山詰まっています。ゆったりとした時間の流れがあり、ロマンチックな雰囲気を感じました。爽やかでささやかな愛にあふれています。がっつりとしたSFが苦手でも楽しめるファンタジックさが魅力だと思いました。2015/08/04
R
74
未来、宇宙を取り扱うまさにSFという骨子で、十二分なロマンスを読ませる短編集でした。あとがきで、そこまでロマンス的でないとされていたけども、十分にきゅんきゅんな甘酸っぱさに満ち溢れていました。表題作が特に秀逸で、タイムトラベルという、もう手垢に塗れて掴むところもなさそうな土台を使って、ものすごく見事な男女の機微というか、いやぁ、いいもの読んだと一人感嘆。敬遠しがちだったSFの見かたが変わった一冊でした。2016/09/05