内容説明
アイコは金田陽治への想いを抱えて少女的に悩んでいた。その間に街はカオスの大車輪!グルグル魔人は暴走してるし、同級生は誘拐されてるし、子供たちはアルマゲドンを始めてるし。世界は、そして私の恋はどうなっちゃうんだろう?東京と魔界を彷徨いながら、アイコが見つけたものとは―。三島由紀夫賞受賞作。受賞記念として発表された短篇「川を泳いで渡る蛇」を併録。
著者等紹介
舞城王太郎[マイジョウオウタロウ]
1973(昭和48)年、福井県生れ。2001(平成13)年、『煙か土か食い物』でメフィスト賞を受賞し、作家デビュー。新たな才能の出現は、ひとつの事件となる。’03年、『阿修羅ガール』で三島由紀夫賞を受賞
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
かみぶくろ
101
噂の舞城先生初体験。いや、ほんと読書というより体験でした。ハイテンション口語文体の嵐。初速から勢いマックス、富士急で言えばドドンパ。下ネタオンパレードから始まりグロもラブもホラーもちょっぴりマジメも味わえる。前向きなエネルギーを発散させてラストに収束させる構成も良かった。見たことがないものを見せていただいた感じがします。2016/07/02
とよキチ
87
舞城作品2冊目。第16回三島由紀夫賞受賞作品。冒頭の数ページでガッツリ掴まれ、グルグルと回された挙句、ポイっと放り投げられた感じ。いい歳した大人が書いたとは思えない文章の数々・理解不能な世界観・高過ぎるテンションに付いて行くのがやっとでした。ぶっ飛んでて面白いけど、疲れる…。でも、この疲れが心地良かった。2012/11/25
hit4papa
84
いち女子高生の迷走する脳内活動が爆裂するがごとくに拡がりを見せる作品です。彼女の思いは壊れた世界に絡め取られ魂は彷徨します。ストーリーを語ることすら無意味。本作品から何かを汲み取ろうとするとしても上手くいきません。自分の狭い世界観の中で試行(思考)錯誤して、なんとなく結論じみたことを見いだしていく。そういう多感さが上手く表現された作品だと思います(考えすぎか)。2015/05/02
めろんラブ
78
阿修羅のようにしか自己や他者と関わることができないもどかしさは、どんなだろう。ココロは雄弁なのに言葉に出せないいらだちと、それゆえ素っ頓狂な破壊的行動に打って出るしかないアイコに共感する場面も多々あり。次々と繰り出される汚れ言葉と強烈過ぎるエピソードの数々に、途中で若干食傷気味に。でも、終幕ではフジワラ(芸人)の超前向きギャグ「死ね!」「生きる!!」を彷彿とさせる抜けっぷりが見事で爽快でした。お釈迦様はきっと、いるね。2010/01/07
dr2006
67
目くるめく壮大な夢を見て目覚めた朝のような脳の疲労感。何とかガールという作品は多々あるが、これは暴走感、振り切れ感が半端ない。自分には咀嚼が難しかったが最終章で話のマクロがサマリーできる。そして、普段使わない脳の領域が刺激されたのは間違いない。全編主人公アイコの視点で書かれているが、地の文もアイコの話言葉のままなので「会話文」との区別がない。そこがリミッターが外れた疾走感を感じる理由かもしれない。阿修羅と私(アイコ)の内側にある「暗い森」の正体とは?初読み舞城。2019/03/21