出版社内容情報
ローマ帝国滅亡後の地中海は、北アフリカの海賊に支配される「パクス」なき世界だった! 大作『ローマ人の物語』の衝撃的続編。
北アフリカから到来するサラセンの海賊に蹂躙されるイタリアの海洋都市国家。各国は襲撃を防ぎ、奴隷とされた人々を解放すべく対策に乗り出し、次々と海軍が成立。二つの独立した国境なき救助団体も結成された。イスラム勢力下となっていたシチリアにはノルマンディ人が到来し、再征服。フランスとドイツを中心に十字軍も結成され、キリスト教勢力の反撃の狼煙があげられた――。
内容説明
北アフリカを拠点とするサラセンの海賊に蹂躙されるイタリアの海洋都市国家。各国は襲撃を防ぎ、拉致された人々を解放すべく対策に乗り出し、次々と海軍が成立。二つの独立した国境なき救助団体も組織された。イスラム勢力下となっていたシチリアにはノルマンディ人が到来し、再征服。フランスとドイツを中心に十字軍も結成され、キリスト教勢力の反撃の狼煙が上がり始めた―。
目次
第2章 「聖戦」と「聖戦」の時代(海賊行つづく;「海賊に抗するには海軍で」の時代の始まり;ノルマン人がやって来た!;イタリアの海洋都市国家;アマルフィ、ピサ、そしてジェノヴァ;ヴェネツィアの海賊対策;「十字軍」時代;「やられない前にやる」;最後の十字軍;イタリアの経済人たち;交易商品;サハラの黄金)
第3章 二つの、国境なき団体(「救出修道会」;「救出騎士団」)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
402
ティレニア海にはサラセンの海賊が跳梁跋扈する中世前期の後編。もはや海賊は一大産業にさえなっていたようである。一方、イタリアには4つの有力な海洋都市国家が相次いで誕生する。ピサ、アマルフィ、ジェノヴァ、ヴェネツィアである。これらの中からヴェネツィアが一頭地を抜いて、やがては地中海の覇者となっていくのだが、それはもっと後年の話。本書で初めて知ったのが、「救出修道会」と「救出騎士団」の存在。一種の十字軍だろう。北アフリカで奴隷労働を強いられていた人々を救出することに生涯をかけた人たちの集団である。前者は聖職者⇒2018/11/13
ケイ
94
9世紀になってもサラセンの海賊は相変わらず来襲し、ビザンチンはほとんど手をこまねていてるだけで、いくつもの街は打ち捨てられ、修道院は破壊され、キリスト教徒は殺されるか奴隷とされた。しかし、イタリアでは、アマルフィー、ピサ、ジェノヴァ、ヴェネツィアの海洋都市国家が生まれ、独自の海賊対策が取られていく。また、11世紀の末から200年間に渡った十字軍時代となり、13世紀にはイタリアも暗黒から脱し、ローマ時代の平均身長に戻り金貨も再び鋳造される。12世紀末からは修道士や騎士団による奴隷の救出が続けられた。2014/12/26
KAZOO
80
この巻ではイスラムの聖戦、キリスト教徒の聖戦すなわち十字軍の様子が語られることになります。このシリーズを読んだ後は塩野さんの十字軍のシリーズですかねえ。まあただアフリカからのサラセン人たちが来たおかげで様々な交易ができるようになったということも一つの効果ではあると思うのですが。2015/06/04
優希
73
聖戦に次ぐ聖戦の時代。襲撃の防止や拉致の解放のために海軍が次々と乗り出すのはまさに争いが激しくなるであろう予兆のように思えます。国境なき救助団地が結成されるのも納得がいきます。十字軍の結成もこの頃なんですね。キリスト教の反撃の煙の匂いがします。2018/11/23
kawa
52
ローマ中世の1000年、イスラムの海賊・サラセン人により蹂躙されまくり悲惨な生涯を送る地中海の名も無き庶民たち。奴隷となった人々は金で買い戻すしかない、それがあの時代の正義。ボランテイア団体とも言える救出修道会・騎士団がその活動を担いそれらは感動的。しかし、時の権力者は無力でポーズだけ、そこに関心がないような対応。悲惨な奴隷の存在を横目に花開いたルネサンスの時代、何やら今の時代に共通するような…。歴史は繰り返し進歩できないということか? 2019/06/26
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