内容説明
弟ルキウスの死後、単独の皇帝として広大や帝国を維持すべく奮闘するマルクス・アウレリウス。その後半生は蛮族との戦いに費やされ、ついにはドナウ河の戦線で命を落とすという運命を辿る。さらにマルクスは、他の賢帝たちの例に従わず、後継者に実子コモドゥスを指名していた。そしてこれが、コモドゥス即位後の混乱を生む土壌となる―「パクス・ロマーナ」はもはや過去のものとなってしまうのか。
目次
第1部 皇帝マルクス・アウレリウス(承前)―在位、紀元一六一年‐一八〇年(ローマ人と蛮族;時代の変化;「マルクス・アウレリウス円柱」;ドナウ河戦線 ほか)
第2部 皇帝コモドゥス―在位、紀元一八〇年‐一九二年(映画と歴史;戦役終結;「六十年の平和」;人間コモドゥス ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
404
マルクス・アウレリウスは、後世の人たちから最も高く評価される皇帝らしいのだが、少なくても後継者選びにおいては最悪であった。まさに賢父愚息である。コモドゥスは、歴代のローマ皇帝の中でもカリギュラ、ネロと並ぶかあるいはそれ以下であったか。しいて良かったかもしれない点を挙げればマルコマンニ、クワディとの講和によってローマに「60年の平和」をもたらしたことであろう。こんな形で「五賢帝の時代」は終わりを告げる。さてローマの行く末やいかに。あまり見たくはないような気もするし、また最後まで見届けたいという気もする。2020/10/02
ケイ
95
パルティア平定後も、オリエントやエジプト方面、ゲルマニアで次々におこる戦いに追われるアウレリウス。病弱な身体を抱え、皇帝になるまでローマ近郊から出たことのなかった彼は、ゲルマニアの前線で苦戦する。56才の時に息子のコモドュスを共同皇帝とし、3年後に病没する。共同皇帝であったコモドュスは、皇帝となり、ゲルマニア、ブリタニアの反乱に対処する。コモドュスに対し、身内からの暗殺が二度も図られ、彼の生活を乱していく。妻をも処分した彼を結局暗殺したのは、愛人と奴隷であった。2014/11/22
優希
75
皇帝として奮闘するマルクス・アウレリウス。その後半生が悲惨な運命のように感じられてなりませんでした。闘いの末、命を落とすマルクス。その後、後継者となったコモドゥス。愚弟であり、後の混乱へと足を踏み出したと思うと複雑です。パクス・ロマーナとして成立した帝国はどうなるのでしょう。2018/11/05
KAZOO
74
この巻では塩野さんはかなり映画についてページを割かれているのがうれしくなりました。確かに映画の本も書かれています。「ローマ帝国の滅亡」「グラディエーター」です。私も見たことがあり、楽しませてもらいました。偉大な指導者の後の後継を争うのは常道ですが、コモドゥスはそれがトラウマとなり疑心暗鬼の統治を行なうということになります。読んでいて波乱があったほうが楽しいですね。2015/04/05
大阪魂
58
ひさびさローマ人。やっぱ塩野さんのお話わかりやすいー!この本の主人公は五賢帝最後の皇帝マルクス・アウレリウス。思索家なんやけどローマの最高司令官として、ドナウ河の北から攻めてくる蛮族との戦い最前線に死ぬまで常駐。反乱もあったりで10年たってもなかなか成果あげられへんかったことには塩野さん厳しいねんけど、部下に慕われたとこなんかはさすが五賢帝っておもた。「終わりがはじまった」のは息子で次の皇帝・コモドゥスから。寝室の召使に政治やらせ、自分は剣闘士と闘っては自分はヘラクレスや!って遊んでるほんま愚帝…次次いこ2023/01/12