内容説明
広大な版図に街道網を整備し、「インフラストラクチャーの父」とも讃えられる古代ローマ人。しかし、彼らが重視したのは、いわゆる公共事業的なインフラだけではない。教育や医療といった「ソフトなインフラ」においても、ローマは他の民族に先駆けて様々な制度を確立していた。「ローマによる平和」を人々が享受できた背景には、これらの社会基盤の充実があったのだ。一千年の栄華を誇った古代ローマ、その繁栄の秘密が明らかになる。
目次
第1部 ハードなインフラ(承前)(水道)
第2部 ソフトなインフラ(医療;教育)
巻末カラー 属州のインフラ(スペイン地図(ローマ時代/現代)
スペインの遺跡 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
417
ローマのインフラストラクチャーの後半は水道と医療、教育といったソフトなインフラを取り上げる。この巻にもいたる所にカエサルが顔を出す。カエサルは軍事の天才であったばかりではなく、政治においてもそれこそローマ帝国数百年の計を見据えて実行したのである。彼が後継指名したアウグストゥスに付けたアグリッパもまた軍事の才を見込まれてのことであったが、当時の軍事は工事をも伴うものであり、水道工事にも大いに手腕を発揮している。カエサルの慧眼はまた医療や教育にも及ぶ。カエサルの超人的な人間観は実に底知れない。2020/09/25
ケイ
100
街道と同じく水道においても最初の『アッピア水道』を立案・敷設したのは、アッピウス・クラウディウス。その後、属州に至るまで水道橋は張り巡らされる。塩野さんは調べたことを余さず記録したかったのか、ここまで必要かと思われる構造やシステムの説明が続くが、その後の30ページほどの各地のローマ人が建設した跡の写真は圧巻で、最後のご褒美のようだ。医学、教育についての知識のあるものに対する優遇策を打ち出したカエサルにより、主にギリシャの知恵が流れ込んだ。2014/11/21
優希
83
引き続きインフラについて。公共事業に対し、教育や医療などの内的インフラにも制度を確立することからも、社会基盤を充実させようとしていたことが伺えます。ローマの平和を人々が享受するための背景を見たようでした。ローマの繁栄の裏にはこのような状況があったのですね。2018/11/04
大阪魂
76
ローマのインフラその2!今度は水道!紀元前300年頃に病気にかかれへんむちゃきれいな水を何十キロも離れた水源からポンプもなしにトンネル掘って水道橋つくって引いてくるなんてローマ人、てか道路も水道もつくったアッピアすごすぎ!それから数百年の間にカラカラ浴場とかの巨大お風呂用とか工業用、ローマだけちごて属州にも!今でも衛生面で苦労してる国いっぱいあるのに…医療とか教育のソフトインフラも、カエサルがローマ市民権あげるってやり方で一気に人材集まって充実!パックスロマーナもこーゆーインフラのおかげで実現したんやねー2020/12/20
KAZOO
60
この巻では、ハードインフラで水道設備とソフトなインフラの医療と教育についてかなり詳細に説明されています。またカラー写真は属州のインフラについて説明されています。かなりローマから離れているところでも、きちんとした防壁や水道設備が建設されていたことがよくわかります。途中でこのような巻を入れてくれるのもいいサービスだと思いました。2015/03/28