内容説明
カエサルは、ギリシアでのポンペイウスとの直接対決に勝利し、地中海のほぼ全域を掌握する。しかし首都ローマでは、カエサルの片腕アントニウスの失政により、兵士の従軍拒否、経済停滞という事態が生じていた。帰国後カエサルは巧みな手腕でこれを解決。北アフリカとスペイン南部で相次いで蜂起したポンペイウス派の残党をも制圧する。その間にも、新秩序樹立のために数々の改革を断行していくのだが…。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
121
この巻ではカエサルの晩年が描かれる。ただし、カエサル自身は帝政ローマの完成を見ることはなかった。未だ、亡きポンペイウスの残党との闘いは続くが、この時期にはカエサル自身の記録は残されていない。元老院旧体制を打破したカエサルにとっては、それはもはや意味のある戦いではなかったからだろう。独裁官就任後のカエサルの政治力がまたすごい。そして「寛容」の人であった。「暗殺されたとき、ユリウス・カエサルは、あと4ヵ月すれば56歳を迎えるところだった」―この巻の結びは、あたかもカエサルの『ガリア戦記』の文体を彷彿とさせる。2013/01/11
ハイク
104
カエサルは世界の歴史の中で傑出した人物であった。カエサルの戦いはほとんど完勝である。いつも相手より戦力は劣っているにもかかわらず完勝である。戦う場所を観察し自軍に有利な戦略的位置を占め、勝利に導いている。部下のカエサルへの信頼は絶大だった。一種神がかりの戦いである。ついにカエサルはローマ帝国の頂点に立った。今度は政治改革に重点を置いた。我々にも馴染みのあるユリウス暦の改定も行った。各方面における政治改革を次々に行った。これに対していわゆる守旧派の人達は不満を募らせて行く。そうしてカエサルは暗殺された。 2018/08/30
ehirano1
94
カエサルとは?一言で表すと「寛容(クレメンティア)」。そう感じた中巻でした。2017/03/11
優希
87
ポンペイウスに勝利したカエサルは、事実上地中海のほぼ全域を支配することになります。独裁者として帝国を統治するため、政治・社会改革を行うのはその手腕の凄さと言えるでしょう。一方で首都ローマでアントに売るの失脚という危機が待ち構えていますが、それすらもカエサルの力の前では小さなことに過ぎないように思いました。まさに地中海の覇者としてのカエサルが全てだったと言えますね。2018/04/30
KAZOO
67
カエサルはほぼ地中海を制圧し、その後もポンペイウスの残党との会戦で勝利を収めていきます。このような経緯を見ていくと本当に稀代の英雄ということなのでしょう。ローマでアントニウスがあまり評判がよくなかったところを政治手腕で解決していくところなどは大したものだと感じます。それでも不満を抱える人々がいたということです。2015/01/09