内容説明
いまから千年前、貴族文化が頂点を極めた王朝時代に颯爽と登場したヒーロー光源氏。一体、彼はただのプレイボーイだったのだろうか。数多の女人のうち、彼がもっとも愛したのは誰だったのか。貴族社会への深い洞察で、一つとして同じパターンのない源氏の愛の世界をひもとき、光源氏と彼を巡る人々の陰影を鮮やかに切り取った見事な手腕。三年間にわたる「源氏物語」語りの結晶。
目次
京はるあき
王朝まんだら
光源氏の生いたち(「桐壷」「帚木」)
青春の恋と悲しみ(「空蝉」「夕顔」)
青春彷徨(「若紫」「末摘花」)
宴は果てず(「紅葉賀」「花宴」)
車争い(「葵」)
秋のわかれ(「賢木」「花散里」)
流人のあけくれ(「須磨」「明石」)
都へ―春たちかえる(「澪標」「蓬生」「関屋」)
明石のちい姫(「絵合」「松風」)
著者等紹介
田辺聖子[タナベセイコ]
1928(昭和3)年、大阪生れ。樟蔭女専国文科卒業。’64年『感傷旅行(センチメンタル・ジャーニィ)』で芥川賞、’87年『花衣ぬぐやまつわる…わが愛の杉田久女』で女流文学賞、’93(平成5)年『ひねくれ一茶』で吉川英治文学賞を受賞。また’94年菊池寛賞を、’95年紫綬褒章を受ける
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感想・レビュー
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優希
86
面白かったです。おせいさんが語る源氏物語。恋多き光源氏の色気や、女性に注ぐ愛の形などを優しく紐解いていて、その世界に引き込まれます。『桐壺』から『松風』までの様々な恋模様に光源氏の色気や人間性が見えてくるようでした。おせいさんが源氏物語の魅力を教えてくれている感じが良かったです。続きも読みます。2016/08/15
無識者
12
やはり僕は先入観偏見でもって読んでしまうのだ。どういう偏見かというとその時代の女性はhttps://www.youtube.com/watch?v=gcrQvoCzs80 エルザと白雪姫のラップバトルにおける白雪姫でしかないのだという偏見だ。特に嫌いなところを述べると空蝉、末摘花、明石のあたりが嫌いである。ほぼ強引に関係作るし、末摘花は落ちぶれたところを救ったとはいえ偶然の産物に過ぎないし、紫の上も明石の君の気持ち両方踏みにじる。しかし紫式部はこの受動的な恋愛では幸せになれないと言いたいのかもしれない。2017/01/15
双海(ふたみ)
9
高校の頃、単行本版で読みました。持ち運びに便利な文庫本が出て嬉しいです。2014/09/28
タンタン
5
1〜3巻の講演CD36枚を図書館で借りて聞きました。36時間位?お聖さんの優しく軽やかなお声と深い古典の造詣で、「源氏物語」をわかりやすく、しかし品位は落とさずに語ってくれます。教養のないこの身にも内容がすっと入ってきました。なぜなぜ完訳なさらなかったんでしょう?読んでみたかったな〜2020/12/31
逍遥遊
2
75-20160501-01 最初は、ちょっと失敗したかなって思っていたら、だんだんと入っていくではないか。源氏物語の解説本として、とても楽しめました。何か、物語の幅が広がったようで、日本の文化の奥深さを感じました。2016/05/01
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