新潮文庫<br> 和菓子屋の息子―ある自伝的試み

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新潮文庫
和菓子屋の息子―ある自伝的試み

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  • サイズ 文庫判/ページ数 302p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784101158358
  • NDC分類 910.268
  • Cコード C0195

内容説明

東京市日本橋区、両国は鈴蘭通りの丁度まん中あたりに、九代続く老舗の和菓子屋、立花屋本店はあった。関東大震災で一度は壊滅したが、みごと再建なったその街と店とは、昭和20年の大空襲でまたもや消滅する。今度こそ幻の町になってしまった東京の下町と、下町の商家の暮しぶり、気質と言葉とを、立花屋十代目になる筈だった男がここに再現。ようこそ、失われた昭和モダニズム界隈へ。

目次

山の手の娘、下町へ行く
世にも奇妙な家の内部
失われた町の地図を作りながら
下町には「通俗的な人情」はない
町の成立ちから裏店まで
黒豹事件と「ニュース映画館」
昭和十年代・物売りのいろいろ
下町人気質について
下町ことばのゆるやかな消滅
キネマの都で〔ほか〕

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

kinupon

68
著者のいろいろな作品が形成されたバックグランドが見えるような気がしました。2016/12/20

ワッピー

36
昭和初期から小林信彦の育った日本橋界隈の雰囲気と変遷を家族史、建物、人心や娯楽、事件といった様々な角度から切り取った町の肖像エッセイ。前に読んだ「私説東京繁盛記」に横溢する町への独特の感情は、こういった幼年期から形成されてきたものなのかもしれないとちょっとわかったような気がしました。特に「下町の人情」という戦後のマスメディアが作り上げた虚像への違和感というのは納得です。また、母方の祖父高宮信三氏が几帳面に残した手紙や日誌の覚え書きを集めた膨大なファイルの細やかさには脱帽。 2019/12/26

Willie the Wildcat

30
軽妙な語り口で、自家を通して振り返る下町。羅宇屋、一銭蒸気、ゾッキ本、果ては珍優・高勢実乗・・・。ググりました。(笑)隅田川の当時の描写が、特に印象深い。”土左衛門”・・・って、”隣国”の公害のことをとやかく言えないなぁ。本好きにとって興味深いのが『崋山と長英』。何故に唯一、しかも山積み?それにしても信三氏マメだなぁ。無論、「デートリッシ」で最後まで通した著者の茶目っ気にも好感。(笑)2015/04/11

エドワード

14
私は昭和の東京を描いた作品に目がない。小林信彦氏は両国の和菓子屋生まれ。二人の祖父、小林安右衛門氏と、青山で工場を営む高宮信三氏への愛情が文章にあふれている。高宮氏の日録が克明で、披露宴のメニューがしつこく出てくるのがいいですネ。小林氏によれば、下町の定義が次第にずれていき、言葉がすたれ、今や幻となりつつあることがわかる。私は「寺内貫太郎一家」を思い浮かべた。だが谷中は山の手だ。でも谷崎潤一郎が掲げる江戸っ子気質、見栄坊のくせに意志が弱く、無精、やせ我慢、ハミカミ屋等に寺内貫太郎は殆どあてはまると思うね。2013/06/01

sasha

8
自身の記憶と母方の祖父が残した資料を頼りに、戦前・戦中・戦後の東京下町の変遷を描いている。映画やテレビドラマで描かれるベタな下町人情とは違った、作りものではない昭和モダニズムである。著者の母上はふたりの息子どちらにも家業を継がなくていいように育てたのか。2019/07/24

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