内容説明
筒井藩士、弓虎之助には知られてはならぬ秘密がある。弓家は、幕府により大名家への潜入を密命された、先祖代々続く公儀隠密の一族なのだ。藩の隠し金八万両のありかを探せ、という幕府の指令を受けた虎之助は、藩の有力者、堀口左近の信頼を得て、手がかりを探す。だが筒井藩内に権力争いが勃発し、虎之助も巻き込まれ…。忍びの宿命を背負った若き侍の暗躍を描くエンタテインメント長編。
著者等紹介
池波正太郎[イケナミショウタロウ]
1923‐1990。東京・浅草生れ。下谷・西町小学校を卒業後、茅場町の株式仲買店に勤める。戦後、東京都の職員となり、下谷区役所等に勤務。長谷川伸の門下に入り、新国劇の脚本・演出を担当。1960(昭和35)年、「錯乱」で直木賞受賞。膨大な作品群が絶大な人気を博しているなか、急性白血病で永眠(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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優希
48
再読です。講義隠密の一族である弓家。幕府からの勅令を受けた寅之助は手がかりを探すものの、藩内で争いが起きてしまいます。誰がスパイで誰がスパイでないのか混乱しました。だからこそ痛快エンタメなのですね。忍びの宿命すら面白く描いてしまうのですから。2023/03/08
優希
45
面白かったです。知られてはならない秘密を持つ弓虎之助。各資金のありかを探すため暗躍する中で巻き込まれる権力争い。全ての要素にハラハラドキドキさせられました。忍びの宿命を背負った侍の暗躍がとにかく格好良い。極上の時代エンタテイメントを読ませて頂きました。2021/10/13
kousei
6
藩の有力者に使える主人公、裏の顔は隠密で、権力争いに埋蔵金、スパイ合戦、登場人物の名前を覚えられず、終盤誰が裏切り誰が味方か分からなくなった。藤沢周平氏の作風のような高尚な筋立てではなく、世俗的な時代小説。そんなに盛り上がらないけど読み易い。2021/03/05
どん
3
先祖代々公儀隠密として筒井藩に潜入する弓虎之助に隠し金を探す指令が出る。登場人物の動きも早く誰が味方なのか、最後まで分からない。面白かった。 池波正太郎の小説では女性が登場しいい味を出す。正江は現金なところはあきれるほど、たくましい。2022/08/02
てまり
3
弱小藩に潜入した政府隠密、隠し金を巡っての冒険。伏線が放りっぱだったり強引なキャラ変があったり、思いつき次第に書いてそうなのも結構心地いい。人生ってむしろそんなものでしょう。ちょいちょいサラリーマン社会を比喩に使ったり、やっぱ昔の時代小説ってジェネリックビジネス小説感あるよね。ラストは正江が有能すぎて草でした。そんな即発見されてて大丈夫なのか。2021/04/29