内容説明
淀君によって大阪城から一歩も外に出されたことのなかった秀頼であったが、豊臣家を思う加藤清正らの奔走によって、ついに二条城において家康との対面が実現する。しかし立派に成長した秀頼の姿は、あらためて家康に豊臣家取潰しの決意を固めさせ、甲賀忍びに清正毒殺の使命が下る。東西手切れに向かって情勢が緊迫化する中、その日を見ることなく真田昌幸は九度山で永眠する。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
とん大西
122
焦らすゎ…(^o^;)。豊臣方と徳川方、いよいよ手切れで大坂の陣かと思ったが…煮込みの最終段階に入った第9巻「二条城」。このあたりは大河真田丸でもクライマックスに向けて盛り上がってくるところ。大人になった秀頼と老人となった家康とのバチバチの二条城会談。人は成長し、人は老い、人は死んでいく。加藤清正、浅野長政-豊臣の柱は逝った。真田昌幸-稀代の戦略家も九度山で没した。家康もいずれ死ぬ。が、まだ生きる、豊臣を骸にするまでは。時代にロックオンしたのは家康の謀略だけではない。幸村、ついに胎動か。2021/07/10
優希
109
大坂の陣に向けての情勢の変化が描かれます。豊臣家のことを想う清正らの動きで、秀頼が上洛することに。大坂城から出たことのない秀頼が家康と謁見するというのは大きなクライマックスと言ってもいいでしょう。これを機に、家康の豊臣滅亡への狙いがより強まったのも事実です。清正、昌幸、幸長と、豊臣側の重臣が秀頼上洛後、立て続けに亡くなることで、時代の風は家康の方に向かい、吹き始めたように見えました。運命は見えてきているながらも大坂の陣へと繋がっていくのが切なくもあります。2016/11/09
伊田林 浮刄
78
★★★★☆昌幸死す・捲土重来を期す幸村・清正と幸長の真っ直ぐな忠節・まさかの梅春(予想できたけどね)・過激な原理主義者と化した弥五兵衛・ただただ応援せずにはいられないお江・言いたかないけど「これだから女は」とつい口をついてしまう淀君や久野・大蔵卿局と且元の手玉のとり方とか惚れ惚れしちゃう家康……この見事なまでにしたたかな大御所を表で支える強固な三河武士軍団と裏で暗躍する甲賀者。こんなん相手じゃ大坂方はハナから関東の敵じゃなかったってことか。。。にしても最後に一言「角兵衛、めんどくせえええええええええええ」2016/09/03
たいぱぱ
72
関ヶ原から10年が経ち、たくさんの人が死んでいく。徳川との決戦を夢見ていた真田昌幸は、九度山に幽閉されたまま逝ってしまう。ついに上洛した豊臣秀頼の思いもよらぬ武者ぶりに徳川家康の危機感が高まり、ついにあの方広寺の鐘難癖作戦を決行する。豊臣側の大黒柱であった加藤清正を毒殺し、浅野幸長をも毒殺する腹立たしい展開。この作品で今村翔吾さんは歴史好きになったというが、賤ヶ岳七本槍に興味を惹かれたのはよくわかる。これが名作「八本目の槍」に繋がったのかと感慨深い。歴史を変えてもいい。信繁よ家康を討て!! 2023/11/29
雪風のねこ@(=´ω`=)
72
今回も多くの人物が亡くなってしまう。願いを秘めたままその時を生き、そして死んでゆく。なんと儚いことか。五兵衛の頑なさも関ヶ原で家康を討ち損じたせいもあるのだろう。その因縁となったお江と再び家康を討つことで揉めるんだけど、運命の皮肉さを感じるな。清正も毒殺説があり、同著「日の国の城」も読みたくなった。さて、本巻でひときわ感じたのは、人の心となり目となり考えを読み酌む。与助しかり幸村しかり。難しいけれど、大事なことなんだよね。2016/01/18