内容説明
会津出陣中の徳川軍団から離れ、上田に帰った真田昌幸・幸村は、ただちに城の守りを固める。家康は息子秀忠に中山道をゆく第二軍を率いさせ、真田信幸に先陣を命ずる。秀忠軍四万を上田城に迎えうった真田父子は、様々な謀略を使ってこれを釘づけとし、ついに関ケ原の決戦に間に合わせなかった。真田父子が徳川軍の約半分を削いだにもかかわらず、結束のはかれぬ西軍は家康に敗れる。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
とん大西
131
数多くの作品の中で何度も訪れた戦いの地、関ヶ原。本作でもその高揚は抑えきれません。焦燥の三成に泰然自若の家康。井伊直政が猛り、福島正則は吼える。大谷吉継は俯瞰し、鬼島津が奔る。義憤、野心、忠義、打算-各々の裡に煮え切らない何かを抱えながらも、日和見も裏切りも呑み込んで、最後はガップリ四つの関ヶ原。必死の三成に必死の家康。草の者お江、又五郎らの超人的な暗躍も空しく西軍の血を吸った平原にざわついた静謐がおとずれる。三成の無念、家康の執念。あぁ、やはり関ヶ原…。上田で奮った真田の運命も急転。あぁ、関ヶ原…か。2021/06/08
あすなろ@no book, no life.
123
少し間が空いてしまったが、池波・真田太平記7巻の読了。関ヶ原合戦とその始末に一巻が費やされている。真田親子が東西軍に揺れる姿も見ものなのだが、お江の動きはそれを上回り注目であった。何しろ、そのお江が我が町のすぐそこにて徳川家康の命を狙ったのだから。僕にとりこの上ないリアリティである。その他、石田三成等の末期迄、ほぼ手にとる様に分かる町々を思い浮かべながら、一気呵成に読んだ512頁であった。さて、どちらが勝っても血筋が絶えぬ様にしたのではないかと噂された真田家。末尾にて救われたがどうなるか。2025/10/13
優希
121
遂に関ヶ原の戦いが始まります。今回は真田陣営の出番は殆どありませんが、合戦の状況が手に取るように伝わってきました。天下分け目の大勝負、徳川率いる東軍と三成率いる西軍のぶつかり合いの激しさは手に汗握らずにはいられませんでした。覇権争いの初見という見方もできるでしょうが、この合戦が起きることで誰の手に権力が渡るかが鍵になるので、やはり戦国時代最大の戦いだと思います。結局は家康の力に屈するしかなかった西軍ですが、敗戦後の三成の潔さが格好良い。時代の劇的な争いを見たようでした。2016/11/08
伊田林 浮刄
86
★★★★☆関ヶ原の巻。真田草の者チームの生き様はたまらなくハードボイルド/頭はいいけど戦下手・いざという時の胆力がない・プライドだけは人一倍・他人に頭を下げられない・俺様が正義と思うことは他の連中だってそう思わなきゃおかしい・そう思わない奴は家康に騙されてるバカ(三成)VS 青臭い三成とは修羅場の経験値や器が違う・勝つためなら清濁併せ呑み嘘も方便しまくっちゃう・そして何より総大将が乾坤一擲、腹ドーンと括ってる(家康)どこぞの国の野党と与党のみたい2016/08/12
タツ フカガワ
80
戦国時代小説ではお馴染みの関ヶ原の合戦が第7巻の舞台ですが、さすが池波先生、その合戦描写に圧倒されました。一方最終章「処断」では、ときに笑いが漏れる合戦後の挿話が面白かった。たとえば、広島城主になった福島正則が銘酒を江戸の家康に献上するため船に積んで八丈島近くを通ると、彼方の岩の上で手を振るものがいる。近寄ってみると、これが八丈島に流された宇喜多秀家で、酒を分け与えたというエピソード。どう考えてもこの船、黒潮に流されて漂流中としか思えない。2023/04/13




