内容説明
「なぜだ」の言葉を残して解任されるまで十年の間、ワンマン体制を敷き三越に君臨した岡岩茂。そして岡岩を陰で操った女帝、竹原みちと、二人の周囲に群がった男たち。栄光と挫折、野望と絶望が交錯する企業社会にうごめく人間たちは何を求め、何を失い、何を得たのか。実際の事件に基づいて、様々な欲望と思惑と人間模様が渦巻く老舗の内幕を描いたドキュメンタリー・ノベル。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
まつうら
44
三越事件があった当時、まだ子供だったので事件のことはまったく知らず、高杉良「小説ヤマト運輸」を読んで初めて事件を知り、興味を持った。著者は文芸春秋の記者としてこの事件を追っていた辣腕記者。なのでこの作品の登場人物たちはとても鮮明だ。社長の岡岩はもちろんだが、なによりも竹原みちの強欲な悪女ぶりが凄まじく酷い。竹原がデビィ夫人に会ったとき、社交界で夫人を超える注目の的になると意気込むが、こんな身の程知らずにも呆れてしまった。デビィ夫人は努力の人であって、男に巣食うだけの悪女なんかとは、比べるのも失礼だっ!!!2022/11/02
anti_ager99
6
★★★★★ 『小説ヤマト運輸』から繋がって購入。著者によると9割方事実とのことで、事実は小説より奇なりとはよく言ったもんだ。よくもまぁ思いつくわ思い切ってできるわの権謀術数の数々。事実としても小説としてもドラスティックで本当に面白いんだけど、同じサラリーマンとしてもはや尊敬の域な権力欲やハラハラドキドキへの耐性が自分と違いすぎて「こういう感覚を会社に求める人たちがたくさんいるのね」と勉強になった。そりゃいるのはわかるけど、それにしても凄い。さて、自分にとって心地よく思える社会環境とはいかなるものなのか?2016/11/12
Nobu A
4
大下英治初読。昭和62年初版。最近、世間を賑わせているカルロス・ゴーン事件と類似性が高い昭和の終わりに起きた三越事件。著者曰く、90%事実の準ノンフィクション小説。様々な登場人物が現れるが、恐らく意図して主要人物の経歴が何度か繰り返し叙述され、混同することなく読み進められ、読みやすい筆致。「恭しく」が書き癖かな。もう少し豊富な語彙を見せて欲しかったが。内容が事実なら、違法に資金を流用し、私腹を肥やしたトップだけでなく、統制が取れなかった周りの重役も責任重大。奇しくも両事件ともそれぞれ時代の終わりの出来事。2018/12/29
大工のおかみさん
2
実際に起こった百貨店の企業事件なんですね(@_@;) 次は必ず君を社長の座に据える、、、この言葉に何人の役員が、今の社長に忠誠を誓って裏切られたのだろう‼️可哀想な百貨店戦士達(@_@;)あの有名な三越で怒ったことですもの、誰もが一度は耳にしていますよね(´・_・`)カナ-2022/08/03
エスコルチア
2
私、三越の社長! 会社を私物化してライバル追放したり愛人の会社にお金を流したりやりたい放題! でもイエスマンの役員たちが反旗を翻そうとしているの。 三越のコーポレートガバナンスはどうなっちゃうの〜!?2019/09/04