内容説明
誰しもいつかは死に直面しなければならない。死を考えることは、生きることを考えることであり、死を語ることは、愛を語ることに他ならない。―過去に2度の自殺未遂をおこした母親が83歳で安らかに旅立って行ったことを知らせる曽野綾子氏の第1信に始まり、「死学」の創始者デーケン神父が「死への準備教育」の必要性を説いた第20信に終わる、作家と哲学者の示唆深い往復書簡集。
目次
さわやかな朝に
危機と挑戦
死に向かう意識
敵の兵士に手を差し伸べた日
讃美する旅人
愛の言葉
サハラの旅
旅は道づれ
満月の砂漠で
死への準備
部分的な死
にもかかわらず笑いを忘れず
母の墓碑銘
再会への期待
神様のねぎらい
天国での幸福
楽しい別れ
幸福をもたらすもの
愚かささえも祝福される
さよならは別れを受け取ること
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
金吾
26
二人の往復書簡という形をとっていますので、毎回話の焦点がわかりやすいです。「死」がキーワードになっており考えさせられる部分がありました。宗教を背景に持っている人の強さも感じます。2025/04/07
奏市
13
古本屋で目につき買ってみたが、とても良い読書体験になった。どう生きるか、どう死んでいくか、家族の死をどう受入れるかについて示唆に富む内容で考えさせられた。暗くならずに読み進めるのが楽しかったのは不思議。曽野綾子さんはあるエッセイを何度も読み感銘受けていた方。上智大で哲学の教授をされ死学を広められていたドイツ人の神父との往復書簡。読み始めてから気づいたが、遠藤周作先生のエッセイに出てくるデーケン神父であった。「人生の不条理や苦悩や落胆を味わった上で、「にもかかわらず」笑いを忘れぬことこそが、本物のユーモア」2021/07/04
randa
4
愛のない生活は死人と同じだなと。親と一人の大人として対等に話す機会を逃し後悔する件。考えさせられた。2018/08/21
ちー
3
自分だったら絶対買わないだろうし借りることすらしない本だけど貸してもらってせっかくだから読んでみた。読みにくいかと思ったけどそんなことなかった。小説家とキリスト教の神父の往復書簡。全編通して『死』について書かれている。2人ともそのことを考えながら生きているみたい。私も実際死に直面してみて以前よりは考えるようにはなったけど…2人にとって死はマイナスのことではないみたいだった。死ぬことを考えるのはどう生きるかを考えてることなのかな、と思った。2019/10/23
Chiyo
2
作家曽野綾子氏と、「死生学」の第一人者であるアルフォンス・デーケン先生とのエッセイ風の往復書簡。 デーケン先生の壮絶な戦争体験、ご家族に対するお気持ちなどはとても胸に響きました。先生の温かいお人柄の根底にある痛みに触れ、苦しくなりました。 曽野氏の著作は初めてでした。かなり昔の著作ですが、今も過激な発言が取り沙汰される理由が分かる気がします。個人的にはカトリック信者としての価値観に共感できない事柄があり、入り込めませんでした。2016/11/23