出版社内容情報
変哲のない〈古雑誌〉と巨費が注ぎ込まれる〈新型潜水艦〉。二つを結ぶものは何か? 国防計画の闇を抉った社会派ミステリーの金字塔。
大学卒業から四年。就職難で仕方なく入った会社の仕事に男は気が乗らない。だが、古本屋でふと手にした雑誌をきっかけに、政財界の裏で活動する柿坂経済研究所に入るや、持ち前の好奇心を発揮し始めた。しかし、独自に探っていた謎に、国会でも注目の特殊潜水艦の建造計画が絡んで、殺人事件まで相次ぎ……。国防問題と巨大軍需産業の闇を背景に描かれた白熱の社会派ミステリー。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
じいじ
80
734頁、清張の超長編を読み終えた。今作は政治のウラ側が描かれているので読み応え充分で面白かった。たしか、これがサンデー毎日に連載されていた頃は、池田勇人首相で「高度経済成長」に湧いていたと思う。さて今作、大学を出て4年目主人公・片山幸一は、まったくヤル気がでない仕事に明け暮れていた。ひょんなことからある人物ー善人か悪人か?ーと出会い、男の生甲斐と判断して転職を決意します。…松本清張のスケールの大きい社会派ミステリーは面白いです。2024/08/31
KEI
28
自分の仕事に飽き飽きした片山があるツテを使って入り込んだ所は柿坂経済研究所という、会社へ情報を売りつける様な曖昧な事をしている。配属された調査室では特に指示されなければ時間はある。持ち前の好奇心で起きている事を調べ始まる。国防省の新規潜水艦の購入問題、しのぎを削るアメリカ2社、諜報活動をする役人、次々に浮かび上がる溺死体と内容はてんこ盛り。政界の黒い霧と言われた時代背景もあり骨太のミステリだった。片山が殺されなくて良かった。2024/10/10
きょちょ
23
松本清張の長編は、出だしから興味をそそられる作品が多い。 それが最後まで続くかどうかで私の満足度に差が出る。 700ページ以上の作品で、650ページくらいまで謎が増える一方の作品。 もともとは、なぜそんな古い雑誌の争奪戦が繰り広げられるのかだったが、雑誌のどこが問題なのか、柿坂経済研究所の目的は何か、研究所の1人1人の得体の知れなさ、3人の怪死の真相、潜水艦製造とどう関わるのか、など謎が尽きない。 本作は納得のいく締めくくりで、著者の最大の目的は当時の国家権力に対する批判であった。 ★★★★2019/03/31
RED FOX
17
「うちの女の子は半分くらいしかいません。あとは新橋の芸者さんです。着物の人はみんな」偶々買った古雑誌を巡り謎の死が続発。60年代のコピー代高い。国会質疑が端的でレベル高い。個人情報こんなに緩かったか。面白かった。2023/12/24
浅香山三郎
10
手元の本は、1973年の文庫本2刷。発表は1961〜1962年の『サンデー毎日』。『旅』に連載した『時間の習俗』と同じ年の作である。この時代の小さい活字でも600頁近くになる大作。妖しいフィクサー、防衛機密、舞台としての東京湾岸。潜水艦開発にかかるリアルな資料も活かしつつ、なぜ、どうやつて殺したのかといふミステリーの基本も読ませる作り込み方で、清張のこの頃の社会問題への関心のもち方もよく分かるやうに思ふ。2024/01/21