内容説明
時代小説の第2集。誤解から役人の妻との過去を疑われた男が、逃れるすべのない絶海の孤島佐渡に送られ、金山の湧き水を汲み出す水替人足として想像を絶する地獄の苦しみを味わう『佐渡流人行』。下級役人の哀しい運命をたどる『甲府在番』。江戸っ子の意地を痛快に語る『左の腕』。ほかに『陰謀将軍』『腹中の敵』『秀頼走路』『戦国謀略』など戦国時代に取材した力作8編を収める。
著者等紹介
松本清張[マツモトセイチョウ]
1909‐1992。小倉市(現・北九州市小倉北区)生れ。給仕、印刷工など種々の職を経て朝日新聞西部本社に入社。41歳で懸賞小説に応募、入選した『西郷札』が直木賞候補となり、1953(昭和28)年、『或る「小倉日記」伝』で芥川賞受賞。’58年の『点と線』は推理小説界に“社会派”の新風を生む。生涯を通じて旺盛な創作活動を展開し、その守備範囲は古代から現代まで多岐に亘った
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感想・レビュー
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ehirano1
80
表題作について。お約束と言えばお約束の展開と内容なのですが、これはエグイ、マジでエグイ。一方で、自分の外側にしか依存することができない人生がどうなるかを改めて思い知らされます。2023/03/25
kei302
63
今週の観劇「左の腕(無名塾)」予習。タイトルで予想がつくけど、元犯罪人の話。 「なまじ隠すからいけなかった。明日からは飴売りに逆戻りだ。もう隠さねえよ」60代卯助を仲代さんがどう演じるのか楽しみ。2022/03/22
i-miya
58
2014.02.19(01/25)(つづき)松本清張著。 02/19 (P399) (解説=平野謙、つづき) 著者がある特定の史実に心ひかれる。 (本文) ◎『腹中の敵』。 一.天正二年元旦、信長、岐阜城、諸将を前に、「これより先、肴を振舞う」として、出してきたのは、三つの首級、塩漬けの三つ首。 朝倉義景、浅井長政、浅井久政。 前年秋、信長は、浅井、朝倉を討った。 2014/02/19
i-miya
48
2014.01.04(12/25)(つづき)松本清張著。 01/04 (解説=平野謙、つづき)著者は、ある特定の歴史的事実を、歴史的事実であるがゆえに書くのではない、小説にしようとするのではない。 アクチュアルな、現代的関心が、特定の歴史的事実に立ち向かわせたのである。 T09、徳田秋声と田山花袋の生誕50周年記念行事が全文壇的規模で催された。 2014/01/04
i-miya
43
2013.11.25(11/25)(再読)松本清張著。 11/25 (解説=平野謙) 『腹中の敵』に関し、清張のコメント、「丹羽長秀のこと、後進の秀吉に対する先輩としての反発。柴田勝家の陽動型と、長秀の穏忍型、だが知性が加わり、弱い、秀吉に押し切られる」-破滅していく長秀。 『陰謀将軍』-足利義昭だ。 史家からははじかれるが、私は好きだ。 2013/11/25