出版社内容情報
イーハトーヴォから聞こえてくる賢治の足音。自伝的表題作、代表作「風の又三郎」の初稿を含む、珠玉の17編。
あなたが宮沢賢治に最初にであった時、心がどんなふうに動いたか覚えていますか――つめくさのあかりを辿って訪ねた伝説の広場をめぐる顛末を、自伝的思い深く描いた表題作、ブルカニロ博士が現れる「銀河鉄道の夜〔初期形第三次稿〕」、本物の風の子又三郎の話「風野又三郎」、「いちょうの実」など童話17編。多彩な作品の複雑な成立の秘密もうかがい知れて、魅力をさらに堪能できる一冊。
内容説明
つめくさのあかりを辿って訪ねた伝説の広場をめぐる顛末を、自伝的思い深く描いた表題作、ブルカニロ博士が現れる「銀河鉄道の夜〔初期形第三次稿〕」、本物の風の子又三郎の話「風野又三郎」、「いちょうの実」など童話17編。多彩な作品の複雑な成立の秘密もうかがい知れて、魅力をさらに堪能できる一冊。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
鉄之助
217
冒頭の、童話「いちょうの実」が、実によかった。まっ黄色に色づいた いちょう を見上げていると、賢治が言っているように いちょう の実が、こちらに話しかけてくるような思いに。私までロマンチックな幻想を味わえた。2020/10/30
ちなぽむ and ぽむの助 @ 休止中
176
耳にひそやかな音がするので木々を抜けてみると、小さな川が流れておりました。タンザナイトの輝きを掬ってその上澄みを口に含むと、その水は仄かに甘く、一面に咲く松虫草はアメジストへと姿を変えたのです。水面に輝く月は真珠となってころりと手に転がります。 無限の宝石となった世界は踏む度にサクリサクリ。拾って口に含むとシャリリと甘く、お土産に持って帰ろうとポケットに詰めました。ああ、贈物を持って帰る時ほどしあわせなことはない、早く喜ぶ顔が見たい。帰り道を急ぐ背中を、月がきいろく照らしました。2019/10/03
KAZOO
134
新潮文庫から出ている宮沢賢治の童話短篇集です。すべて天沢退二郎さんが編纂されていて、他の3冊にはおさめられていなかったものをこの中に取り込んでいられます。童話とはいうもののどちらかというと大人向けの感じがするのですが、表題作などは中篇で非常に印象深い作品でした。桃源郷あるいは理想郷なのでしょうね。2018/05/15
優希
105
イーハトーヴォの世界が目の前に広がっていました。その世界は深くて神秘的です。17の作品は有名作の原型だったり、中断作品だったり、未発表の作品だったりと、賢治の知られざる本当のイーハトーヴォを彩っているように思いました。代表作以外の作品が味わえる醍醐味は何とも言えません。本物の『風野又三郎』、ブルカニロ博士の登場する『銀河鉄道の夜』、『グスコーブドリの伝記』の原型『ペンネンネンネン・ネネムの伝記』が読めるのは貴重ですね。美しい世界を堪能しました。2016/06/27
Gotoran
64
タイトル「ポラーノの広場」他16作品を収録。自然、人間、宗教に絡む賢治固有の感性、表現描写は唯一無二。自己の深奥から湧き出る心の揺らぎ、感情、想い、即ち賢治の心象世界を言葉に表した作品の数々。何度も接したい。博物局で働くキュースト(賢治の分身か)と農夫の子ファゼーロ少年たちが伝説のポラーノの広場を追い求め理想の広場として「ポラーノの広場」を実現していく物語が特にお気に入り。他にも初編の「風野又三郎」「ペンネンネンネンネン・ネネムの伝記」、過渡期の「銀河鉄道の夜(初期形第三次稿)」の良かった。2015/06/10
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