出版社内容情報
横濱で知らぬ者なき富豪一族、檜垣澤家。当主の妾だった母を亡くし、高木かな子はこの家に引き取られる。商売の舵取りをする大奥様。互いに美を競い合う三姉妹。檜垣澤は女系が治めていた。そしてある夜、婿養子が不審な死を遂げる。政略結婚、軍との交渉、昏い秘密。陰謀渦巻く館でその才を開花させたかな子が辿り着いた真実とは──。小説の醍醐味、その全てが注ぎこまれた、傑作長篇ミステリ。
内容説明
横濱で知らぬ者なき富豪一族、桧垣澤家。当主の妾だった母を亡くし、高木かな子はこの家に引き取られる。商売の舵取りをする大奥様。互いに美を競い合う三姉妹。桧垣澤は女系が治めていた。そしてある夜、婿養子が不審な死を遂げる。政略結婚、軍との交渉、昏い秘密。陰謀渦巻く館でその才を開花させたかな子が辿り着いた真実とは―。小説の醍醐味、その全てが注ぎこまれた、傑作長篇ミステリ。
著者等紹介
永嶋恵美[ナガシマエミ]
1964(昭和39)年、福岡県生れ。広島大学卒。’94(平成6)年、「ZERO」でジャンプ小説・ノンフィクション大賞を受賞し、映島巡のペンネームでデビュー。ゲームや漫画のノベライズなどを手掛ける。その一方で、永嶋恵美として、エンターテインメント小説を執筆。2004年に発表した『転落』が大きな注目を集める。’16年、「ババ抜き」で日本推理作家協会賞短編部門を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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akky本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
W-G
395
他の本と並行して読み進めていた一冊。妾腹の子の下剋上ストーリーを期待していたけれど、これだけ長くても尺が足りずに、ほぼ学生時代までで終わってしまっているのが残念。ここから一族の当主にまで成り上がって、さらに凋落していくところが見たかった。それをやろうと思うと、山崎豊子作品のように、何巻かにわけて出さないと無理だろう。大半がかな子が10代の頃なので、何となく切れ者っぽいことを頭の中で考えているだけで、特別目立った行動を起こせていない。結末をミステリとして終わらせたのはむしろやらない方がよかったのではと思う。2025/02/17
のぶ
157
800ページに迫る長編ながら飽くことなく読み通す事ができた。コピーには『細雪』×『華麗なる一族』×ミステリとあるが、ミステリーの要素は薄く女系一族の大河小説という感じだった。主人公の高木かな子は明治37年生まれ。横濱では知らぬ者なき富豪一族、檜垣澤家の当主である要吉の妾の子だったが、母が亡くなったことを機に、かな子は7歳で檜垣澤家に引き取られ、大奥様スエ、婿養子を迎え三人の娘のいる奥様の花らと一緒に暮らす事になる。いろんな事が起きるが、かな子の賢くてしたたかな生き方が印象に残った。充実した読書体験だった。2024/10/14
KAZOO
150
最強のミステリー書店員が選ぶ「大人の推理小説大賞」に選ばれたということのようです。確かにそのような賞に値するものであると思いました。800ページ弱の文庫本ですが一気に読んでしまいました。最初は、谷崎純一郎の「細雪」を思わせる気がしましたが、やはりミステリーという気がしました。明治末期から関東大震災の直後までの時代で舞台は横浜の金と権力を持った女系一族の話です。その妾の娘と生まれた女の眼で一族を観察しつつ自分の存在感を大きくしていくものである意味成長小説ともいえると思いました。楽しめました。続きを期待します2025/04/22
yukaring
139
妾腹の娘かな子から見た富豪一族・檜垣澤家の繁栄と崩壊を描く重厚なミステリ。大正という激動の時代、妾の子と謗られながらも子供とは思えぬ智力で立ち回るかな子と女帝として君臨するスエを中心に癖の強い女性たちの織り成す謀略や嫉妬、ヒリヒリとした腹の探り合いからもう目が離せない。わずか7歳で母親と死に別れ父の屋敷に引き取られたかな子。女系一族の当主スエ、跡継ぎの花、美しく気まぐれな三姉妹たちと起こるべくして起こる不穏な事件や不審死。秘密や陰謀が渦巻く館で己の権利のため策略を巡らす力強いかな子の姿に心を掴まれる1冊。2024/11/17
ちょろこ
136
一族ミステリの一冊。時は大正。女系一族の檜垣澤家に引き取られた妾の子、かな子。彼女を通して一族を取り巻く時代を描いた物語。どっぷり時代に浸れる満足感あり、婿養子の不審死を解き明かすミステリもありと、重量感がすごい。嫌がらせは日常茶飯事の中、亡き母の教えを胸に一族の中での自分の位置を確立していく、強かで狡猾なかな子。彼女の変化する心模様を追うのが面白い。そして徐々に迫る一族の不穏な過去と明かされる真実に、あの時のあの瞬間の意味がスッと心に。たしかにこれはミステリでもあることを噛み締めた。これぞ読書の醍醐味。2024/08/14
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