内容説明
子供の頃に食べた本場キムチの味が忘れられず、朝鮮料理学校に入門したアホウドリ氏。キムチに焼肉、ナムルにユッケジャンなど、40数種の代表的なお惣菜の作り方を学んで、あこがれの韓国へ渡った。ワーク・キャンプで汗を流し、喫茶店に入りびたり、歌謡曲を口ずさみながら韓国語を学んでしまう―。近くて遠いと言われた隣国を知るには必携のユニークなカラー版・旅と料理の本。
目次
第1章 料理をつくる(はじめに―「いただきます」;入学式;キムチの漬け方;包んで食べるサンチュサム;雑菜(チャプチェ)は五目いため
焼肉(プルコギ)のけむり
ナムルの歌
最初の韓国旅行〈あるいは31年ぶりの再訪〉
栄養満点、ユッケジャン〈肉と野菜のスープ〉
大阪へ卒業旅行
朝鮮の味と文化)
第2章 街をあるく(連絡船〈関釜フェリー〉で渡る;喫茶店に入る;金さんに会う;張先生の授業を受ける;歌をうたう;映画を見る;タクシーに乗る)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ウテオンマ
3
古本屋で見つけた、全編にわたりカラー写真満載の新潮文庫。(ちょっとめずらしいかも)昭和62年刊。今でこそ日本人にとっては定番化したとも言える韓国・朝鮮料理ですが、この時代なら先駆的だったのでは?時代は、ソウル五輪の頃。戦争直後朝鮮半島から引き上げて来た作者、ソウルフードは韓国の味ということで、東京の朝鮮料理学校に入学します。石井好子のフランス料理学校入学とかぶり、わくわく。その国を知るには、まずは料理から。この視点は激しく共感します。この本のレシピからチャプチェを作ってみました。 2014/04/07
Lisa Tada
2
良書で会った。書かれた年代は古く、今では日本に定着している朝鮮料理が、まだ珍しかった時代の 料理のレシピと、あとは著者の韓国旅行記である。著者は生まれは戦前の日本占領下の韓国で、旅行というより生まれ故郷を訪ねる目的の紀行文という体で、感慨深い。また、ただ旅行してきました、という旅行記でなく、韓国でのハンセン病の方々の村への労働ボランティアに参加したり、今でも学ぶことも多い内容。文章も読みやすく、重いテーマも軽く面白く読めるようになっている。開高健がたびたび紹介されているのが開高ファンとしては嬉しい。2021/12/03
ワタナベ読書愛
1
1987年発行。植民地時代の韓国で少年時代を過ごし、敗戦後日本に引き揚げた筆者が、複雑な思いを抱えつつも朝鮮料理(キムチなど)を習い、韓国語を習い、現地に何度も足を運んでいく。前半は男の料理教室体験記的な気軽なレシピ&随筆集だが、後半はいろんな人の喜怒哀楽が複雑に絡み合う様子が感じられる旅行記。朝鮮人を差別していた少年時代や、日本に渡ってきて苦労した人たちの様子、日韓の若者がハンセン氏病回復者の定着村で共にボランティアする様子など、いろんな角度から人間を見つめて書かれている。実用的な料理本兼、庶民の昭和史2021/05/03