出版社内容情報
喜びも悲しみも、分かち合っていけたら――。1927年、関東大震災で妹を亡くした八重は妹の婚約者竹井と結婚し、同潤会アパートへ。最新式の住宅にも、自分同様に無口な夫にも戸惑う八重だったが、ある日、妹が竹井に送った手紙を見つけ……。時代の激流に翻弄されながらも、心通わせる相手と出会い家族をつくり、支え合って生きた四世代、70年の歴史。あたたかな気持ちで満たされる家族小説。
内容説明
喜びも悲しみも、分かち合っていけたら―。1927年、関東大震災で妹を亡くした八重は妹の婚約者竹井と結婚し、同潤会アパートへ。最新式の住宅にも、自分同様に無口な夫にも戸惑う八重だったが、ある日、妹が竹井に送った手紙を見つけ…。時代の激流に翻弄されながらも、心通わせる相手と出会い家族をつくり、支え合って生きた四世代、70年の歴史。あたたかな気持ちで満たされる家族小説。
著者等紹介
三上延[ミカミエン]
1971(昭和46)年、神奈川県生れ。大学卒業後、中古レコード店、古書店勤務を経て、2002(平成14)年『ダーク・バイオレッツ』でデビュー。’11年、古書にまつわるミステリー『ビブリア古書堂の事件手帖』を発表し、ベストセラーシリーズとなる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ミカママ
527
通っていた学校近くにあった同潤会アパート。わたしの知るソレとの違いに驚いたものだ。路面階がギャラリーやお洋服を売る店になっていたこともあり、中に入る機会もあったが。そんなアパートに新築で入った家族の歴史。一組の夫婦から孫・ひ孫の代まで、昭和や平成の時世とともに語られる。まぁ、そんなうまくはいかないわな、と思うこともあれど、暗い話を進んで読みたいとは思わない今、ちょうどよかったのかもしれぬ。2025/02/01
ふじさん
98
同潤会代官山アパートメントを舞台に、親子四代にわたる大河小説。関東大震災で妹を亡くした八重と妹の婚約者竹井の結婚から始まり、太平洋戦争、バブル景気、阪神淡路大震災等、時代の荒波に翻弄されながらも、心通わす人々と出会い家族をつくり、支え合って生きた四世代の姿を淡々とした静かな語りで綴るあたたかな気持ちを味わえる家族小説。朝ドラを見終わったような読後感の作品だ。「ビブリア古書堂の事件手帖」以来の三上延の作品だが、違った意味で面白かった。 2023/01/08
ちょこまーぶる
95
読後は心が温かくなって、読書時間はゆっくりと時が流れていたような気分にさせてくれた一冊でした。同潤会代官山アパートの新築と同時に住み始めた家族四世代の話ですが、様々な家族内問題や時代の出来事に翻弄されながらも家族の信頼し合う姿が、僕の心を強く光を照らしてくれた思いがしました。家族って色々な関係性があると思いますが、少しでも気にかけたり、信頼する事が必要なんでしょうね。そして、若い時、原宿の同潤会アパートの中のショップで、その当時の自分には高価な青いマフラーを買って、20年以上巻いていた事を思い出しました。2023/06/08
りゅう☆
92
関東大震災で妹を亡くした八重は、数年後妹の婚約者だった竹井と結婚して同潤会アパートに入居。物静かな夫婦に娘恵子が生まれる。第二次世界大戦後、恵子が幼馴染と結婚して息子2人をもうけ八重は母から祖母へ。孫長男が結婚、曾孫の千夏が生まれ、竹井に癌が見つかり、1人暮らしの元に孫進と千夏がいて阪神淡路大震災が起こり。最初はモダンだったアパートも老朽化。年月を共に過ごしてきた八重も…。10年おきの4世代、70年の物語。別れは必ずあるけれど、愛する人と出会って一緒に生きていることが幸せ。そんな温かくて優しい家族の物語。2022/05/10
真理そら
80
1927年から1997年まで同潤会代官山アパートで暮らした一家4代の家族の物語。関東大震災、第二次世界大戦、阪神淡路大震災のような悲惨な歴史も辿りながら社会と隔絶されたかのような淡々とした家族の営みを描いているので、逆に読者側はあれこれ考えてしまう。妹の婚約者と結婚することになった八重が大往生を遂げ、代官山アパートの建替えまでを夫や子、孫、曾孫の視点で10年刻みで描いている。2022/01/29