内容説明
穏やかだった高円寺北口「純情商店街」にも変化の波が訪れた。スーパー・マーケットの進出計画が持ち上がったのだ。商店街は浮足立ち、反対運動を始めることを決めた。前後して「江州屋乾物店」では、ばあさんが脳溢血で倒れてしまい、隣の「魚政」は店をたたんで吉祥寺でラーメン屋を始めることになった。少しずつ街は変わり始め、正一少年もまた一人悩みを抱えるのだった。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
たぬ
20
☆4 直木賞受賞作『高円寺純情商店街』(読んだのは20年くらい前かも)の続編を。スーパー進出計画浮上・憧れの長嶋茂雄がいる巨人軍がすき焼きを食べに来る・阿波踊りの3話はどれも面白い。同じ商店街の仲間でも当然気が合う合わないはあって、そんな人間模様が実に生き生きと描かれている。自宅も商店街内だとそれこそ24時間365日の付き合いになるし、それはそれは濃い関係性になるのだろうな。でも父はもうちょっとちゃんとしろ。 ※近所のおじさんたちには正坊呼びで祖母と同室。男子小学生が主人公か~と思ったら中3受験生だった。2025/07/07
さくちゃん
9
今作では身近な人との別れが描かれていたり近所にスーパーが進出することになったりと、前作がとてもハートウォーミングな内容だっただけに徐々に商店街がさびれていくようで寂しい…。次作ではどうなってしまうのか気になります。2015/09/27
redmove
9
高円寺北口「純情商店街」にある江州屋乾物店の一人息子で中三の正一目線で描く昭和40年代の日常。「高円寺純情商店街」の続編。どこかで見聞きしたことがあるような展開だけど、だんだんとさびれていく商店街が物悲しい。数年後、江州屋乾物店や商店街はどうなっているんだろう。知りたいような、知りたくないような…2014/07/11
しーふぉ
7
シリーズニ作目。祖母の死、大型スーパーの進出や幼馴染の引越しとネガティブな事柄が多かったが、それを覆す巨人と長嶋茂雄の存在。2013/08/01
jj-jasmine
6
昭和中ごろの「父」の姿がうまく書かれている。当時の世の中はこういう「父」が多かった。外面が良く、威勢が良く、威張っていて、でも家の中はしっかり奥さんが担っている。日本のあちこちにこんな商店街があり、こんな家庭があった時代。長嶋という時代のヒーローのこともうまく表現されていて面白かった。2014/05/21




