出版社内容情報
バツイチ・子持ちの交通課係長、事故係に異動したばかりの若手巡査、昇任試験を控えた女性警官、警察学校在学中の青年、定年退職目前の署長--郊外の所轄署に勤める、世代もキャリアもバラバラな彼らの前に立ちはだかる仕事と人生の壁。さらに、50年にわたり組織的に隠蔽され続けた事件も明らかになってきて……。6編からなる、リアルな人間味に溢れた連作警察小説。
内容説明
バツイチ・子持ちの交通課係長、事故係に異動したばかりの若手巡査、昇任試験を控えた女性警官、警察学校在学中の青年、定年退職目前の署長―郊外の所轄署に勤める、世代もキャリアもバラバラな彼らの前に大きく立ちはだかる仕事と人生の壁。さらに、50年にわたり組織的に隠蔽され続けた事件の謎も明らかになってきて…。6編からなる、リアルな息遣いと人間味に溢れた連作警察小説。
著者等紹介
松嶋智左[マツシマチサ]
元警察官、女性白バイ隊員。退職後小説を書きはじめ、2005(平成17)年に北日本文学賞、’06年に織田作之助賞を受賞。’17年、『虚の聖域 梓凪子の調査報告書』で島田荘司選ばらのまち福山ミステリー文学新人賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
タイ子
89
舞台は郊外の警察署。そこで起きる警察官たちをいろんな方向から描く6作の連作短編集。これまで何作か著者の警察小説を読んできてこの作品集ほど松嶋さんの元警察官を感じた作品はないかもしれない。所轄署とは言え、警察官たちの矜持は同じ。面白いのは、一作ごとに始まる何気ない事が気が付けばあっと思わせる展開に。読むごとに前作で登場した誰かがどこかでひょっこり現れる。同じ警察署なので当然なのだが、年月が経ってもお久しぶりの名前が出てきてあら~ってことになる。ラストの「署長官舎」が何とも言えない読後感と人間味を味わった。2024/03/14
ノンケ女医長
54
元警察官が、警察小説を描く。著者の作品は何作か読んできたけれど、ここまで警察への愛と、そして奇怪な事件にいろんな警察官が知恵と体力を振り絞り、結末を迎える短編をここまで濃密に描ける着想が素晴らしい。癒着を突き止め、ベテラン上司に鉄槌を喰らわせた女性警察官の正義感に、こちらも襟を正さねばと思った。定年を目前に失踪した署長。どんどん拡大していく奇怪さと、見事に結末を迎えるストーリー性は天晴だった。人間味は確かに、どの編にも溢れているし、自分の時間を削って真実を追い求める巡査たちに、敬礼を贈りたい。2025/02/25
さっちゃん
48
御津雲署でゆるく繋がる6編の短編集。派手さはないが警察が舞台の人間ドラマがじんわり心に沁みる一冊だった。/『障り』交通総務係係長の水穂。突然監査に来た監察官は元夫の再婚相手だった。『罅』駐車違反取締りでレッカー移動した車にはルームミラーにヒビが。『拝命』警察学校で殺人事件。ラストの教官の言葉にグッときた。『南天』交通課事故係の知也は正面衝突の人身事故を担当する。『穴』生安課の実咲が決断する警察官の正義とは。『署長官舎』定年退職した署長の官舎から古い骨片が見つかる。50年にわたり組織が隠蔽し続けたものとは。2024/06/27
papako
46
御津雲署という郊外の警察署を舞台とした警官たちの悲喜交々。いわゆる警察小説ではない。横山さんの短編集みたいな感じか。すっきり飲み込める話もあれば、喉やお腹に引っかかるようなお話もあり。私は登場人物たちの先が気になるとなかなか読めなくなる。辛いことがおこるんじゃないかとか思うと読めなくなる。読まなくても結果は変わらないのに。ね。この本は結構止まってしまった。気になって気になって。最後は少し明るい未来が感じられてよかったけど。2024/08/23
rosetta
45
★★★★☆架空の御津雲署を舞台にした6つの短編集最後の「署長官舎」だけ連載二回分で少し長い。解説であさのさんが書いているように警察小説と呼ぶだけでは括り切れない人間ドラマ。一話目と最終話では14年の時間が流れ幼かった少女が成長して再登場。先日読んだ今野敏の新作もそうだったが、警察官のある意味ありふれた日常を描く様子で、ストーリーの面白さは勿論だが、まるで生きている隣人の様に登場人物に寄り添えるのが良い。警察官も、誰もが正義感に燃えている訳でもヒーローでもない、弱さも迷いもある普通の人間なのだった2024/05/12
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