出版社内容情報
新宿の男装ホストクラブで働く百合には、声優になる夢があった。だが現実は、池袋の狭いアパートで、不幸の典型のような共同生活。同居人の真優はソープ嬢、累はホスト狂い。百合自身にも暗黒の過去があった――。知らない男からの宅配便、心臓を鷲づかみにされる恐怖、ルームメイトとの不協和音、そして惨劇。とめどなく涙流れる結末が恐怖を超える余韻を残す傑作。『愛しのシャロン』改題。
内容説明
新宿の男装ホストクラブで働く百合には、声優になる夢があった。だが現実は、池袋の狭いアパートで、不幸の典型のような共同生活。同居人の真優はソープ嬢、累はホスト狂い。百合自身にも暗黒の過去があった―。知らない男からの宅配便、心臓を鷲づかみにされる恐怖、ルームメイトとの不協和音、そして惨劇。とめどなく涙流れる結末が恐怖を超える余韻を残す傑作。
著者等紹介
前川裕[マエカワユタカ]
1951(昭和26)年東京都生まれ。一橋大学法学部卒。東京大学大学院(比較文学比較文化専門課程)修了。専門は比較文学、アメリカ文学。法政大学国際文化学部教授だった2012(平成24)年、『クリーピー』で日本ミステリー文学大賞新人賞を受賞、作家として本格デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
なっち
27
相変わらず陰鬱なトーンで話が進む。百合がいろいろとかわいそうな目に遭い過ぎ。最後もバタバタと終わりを迎えてしまった感が。 2023/07/14
稲田紹
15
最初は、コリャ面白いと読み進めていたが、とにかくクドイほどに名前が。というのも極端な話し、3行の内に同じ名前がダラダラ。動作を説明するだめだろうけど、もう少し上手く書けないものか。ひどすぎる。それからトラウマになってしまいました。2023/12/26
カブリオ
12
過去に被った事件の影響で凡そ恵まれた環境で生きて来たとは言えない女性が、元犯人の釈放とともに陥っていく恐怖を描くお話。過去の事件の状況と犯人の心情とともに現在起こる出来事で主人公が追い詰められていく。序盤で真犯人と思われる人物が登場するのだが、それを否定する場面も描かれ残忍な事件に対して読者の想像する先を微妙にずらしながら物語が進行するが、ストーリーテリングの上手さというものなのか、分かりそうで分からないので残忍な事件と相まって怖さが増します。ただ真犯人がこの犯罪を起こした真因をもう少し描いて欲しかった。2024/08/03
Katsuto Yoshinaga
12
帯の惹句にあるほど傑作ではないと思うが、この人の作品はたまに読みたくなる。「不幸と堕落の典型が、何かの運命的偶然でその狭いアパートの空間に身を寄せ合っているとしか思えなかった」とか、相変わらず酷いハナシを嬉々として描いている。女性向け男装女子のホストクラブに過去の女児誘拐事件、デリヘル嬢殺害といった展開も相変わらずで、やはり江戸川乱歩に思えてしょうがない。長江俊和氏が解説で、モチーフがわからなかった「死屍累々の夜」について、西口彰事件がモチーフと解説されており、疑問が解消されてスッキリである。2024/07/13
じーつー
11
恵まれた環境ではない中で夢を追う百合。 その過去には悲惨な事件に巻き込まれたものがあり、今になって身の回りで起こる不審な出来事に事件の陰を認識する。 タイトルである『号泣』はこれ以上ないくらいに物語を適切に表していると思った。 読んでいて涙が流れるものではなかったけど作品を端的に表していて、『号泣』といった単語だけのシンプルなタイトルも作品からそのまま出てきたように感じる。 原題『愛しのシャロン』もよかったかもしれないけど、『号泣』として読んだ後はこの改題がとても素晴らしいものであるように感じている。2023/07/26




