出版社内容情報
「1Q84年」の深々とした森を抜けて、青豆と天吾の物語は新しい世界へと向かう……。
その誰かは、そこにあるものが本当(傍点傍点)に(傍点)ある(傍点)ことを確認するために、彼の幅広い手をいっそう強く握りしめた。長く滑らかな指、そして強い芯を持っている。青(傍点)豆(傍点)、と天吾は思った。しかし声には出さなかった。彼はその手を記憶していた。――青豆と天吾、二人は「物語」の深い森を抜けてめぐり逢い、その手を結び合わせることができるのか。ひとつきりの月が浮かぶ夜空に向かって……。
内容説明
その誰かは、そこにあるものが本当にあることを確認するために、彼の幅広い手をいっそう強く握りしめた。長く滑らかな指、そして強い芯を持っている。青豆、と天吾は思った。しかし声には出さなかった。彼はその手を記憶していた。―青豆と天吾、二人は「物語」の深い森を抜けてめぐり逢い、その手を結び合わせることができるのか。ひとつきりの月が浮かぶ夜空に向かって…。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
tokko
385
とうとう終わってしまった。「1Q84年」の世界に存在する「二つの月」「リトルピープル」「空気さなぎ」は、ほとんど解明せずに物語は終わる。でもそのような終わり方で良いのではないだろうか?それらの持つ意味は追々考えるとして、今は『1Q84』の余韻に浸ることにしよう。それにしても村上さんの作り出す「異世界」は、本当にギリギリのところで「成立」しているから不思議、それ以上でもそれ以下でも「不成立」しそうな危うい「1Q84年」の世界だった。きっと(絶対)また読むだろう。2012/06/10
zero1
365
喪失ばかりの天吾と青豆に再生と再会はあるのか?この巻でも村上作品らしく人が死ぬ。長くても読まれるのは作品世界に浸っていたいと思わせるものがあるから。小説は説明書ではない。何でも説明する文章を小説をして認める?それを読者は読みたい?伏線が回収されなくても読者は村上作品を求める。リトル・ピープルが何であるか。各読者が解釈すればいい。月を見る度、私はこの作品を思い出す。そして安心する。再読でも充実した時間を過ごせた。その点は作者と作品に感謝したい。BOOK4はあるのか(後述)。2020/01/22
遥かなる想い
364
村上春樹らしい終わり方だった…でも尻すぼみの印象を受けたのは私だけだろうか。最後の邂逅と1984への復帰は印象的だったけれども。2012/07/29
扉のこちら側
310
初読。壮大なラブストーリーだった。いま一番印象に残っているのが、ゴムの木という不思議。2012/09/24
とら
296
1Q84―完結。何を描きたかったとか伝えたかったとかそういうのはもう理解出来なくて良いんじゃないかと、読了して思った。と言うか読んでいる期間も終始思っていた。何時まで経っても少年少女、ボーイ・ミーツ・ガールな純愛小説だと、世界までを巻き込む壮大なファンタジー要素を練り込んだ、ロマンチックな物語だと、それだけで良いんじゃないかと。まだ描こうと思えば続きは描けると思うが、落ち着くべき場所に落ち着いた感じはもの凄いあるので、もうこれ以上を求めるのは野暮である。だからなのか、読後感は悪く無い。楽しい読書でした。2014/02/13