内容説明
「君はこれから世界でいちばんタフな15歳の少年になる」―15歳の誕生日がやってきたとき、僕は家を出て遠くの知らない街に行き、小さな図書館の片隅で暮らすようになった。家を出るときに父の書斎から持ちだしたのは、現金だけじゃない。古いライター、折り畳み式のナイフ、ポケット・ライト、濃いスカイブルーのレヴォのサングラス。小さいころの姉と僕が二人並んでうつった写真…。
著者等紹介
村上春樹[ムラカミハルキ]
1949(昭和24)年、京都府生れ。早稲田大学文学部卒業。’79年、『風の歌を聴け』でデビュー、群像新人文学賞受賞。主著に『羊をめぐる冒険』(野間文芸新人賞)、『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』(谷崎潤一郎賞受賞)、『ねじまき鳥クロニクル』(読売文学賞)など
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
870
カフカに向けられた父の呪い「父を殺し、母と姉と交わる」は、当然オイディプスへの神託のバリエーションに他ならない。では、佐伯さんは、はたしてカフカの母なのか。そして、カフカは15歳の佐伯さんと交わるのだろうか。また、大島さんはカフカの姉なのか。上巻を終わったところでは、まだまだ謎だらけだ。それまでは接点のなかったナカタさんも、今や高松に向かっている。カフカとナカタさんという、イノセントな2人の交点には何が生じるのか。時間も空間も小説世界の中では単純なそれではない。スフィンクスの謎を解くべく一気に下巻へ。2012/08/31
遥かなる想い
522
なぜか久しぶりの村上春樹の本を読みたくり、購入した。いつもの村上ワールドである。主人公の田村カフカは15歳で家出をして、四国の図書館に移り住む。田村カフカを軸にしたストーリーともうひとつのストーリーがクロスしながら進んでいく…というパターンは他作品と同じ。恋人を学生運動で惨殺された佐伯さんの立ち位置が上巻ではまだよくわからない。2011/02/05
HIRO1970
517
⭐️⭐️⭐️この長編すごくイイですね。無茶苦茶面白いと言えるレベルだと思います。パラレル的な過去の時空間とのつながりだけではなくて、次元自体も重なりあっていて多次元の世界すら見え隠れしています。主人公の年齢が15歳というのもかなりの意欲的な試みと思えました。引き続き下巻が楽しみです。2014/06/09
tokko
372
死ぬまでたくさんの「決まり」に従って無抵抗な「猫」を切り殺す。無慈悲な殺猫鬼のように描かれているジョニー・ウォーカーだが、果たして自分に「ジョニー・ウォーカー」的な部分が無いと言い切れるだろうか?もし無自覚的にジョニー・ウォーカーになっているのだとすれば、それは大島さんの言う「うつろな連中」と同じであるような気がする。そういう意味では「ナカタさんストーリー」では16章、「田村カフカくんストーリー」では19章が印象深い。2011/10/13
zero1
351
万物はメタファーか?何度考えても答えが出ない。村上作品の中でもお気に入りで何度目かの再読。父と息子の確執と主人公カフカの運命についてはギリシャ悲劇がベースになっている(後述)。さらに源氏物語や雨月物語の世界も取り入れているようだ。東京から西に向かった15歳の少年は四国の図書館に。大島の謎については後半明らかに。一方、ある事件から猫と話すことができるようになったナカタさんはジョニー・ウォーカーと出会ったことで運命が大きく変わる。ヒッチハイクで西に向かう。両者はどのようにして結びつくのか。後半に続く。2020/07/14