内容説明
僕とクミコの家から猫が消え、世界は闇にのみ込まれてゆく。―長い年代記の始まり。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
697
この作品は、かなりの長編になる覚悟を持って執筆され始めたのだろう。第1巻を終わったところでは、依然として構想の全体が見渡せないし、当然のことながら着地点の予想も全くつかない。加納マルタと本田元伍長には、特殊な能力という共通点はあるものの、本田はここで消えて行きそうだ。第1巻だけに限って言うなら、村上春樹がもっとも語りたかったものは、間宮中尉のハルハ河での回想に極まるだろう。それは実に凄まじい話であり、強烈なリアリティを伴って、深い印象を読者である我々に残す。第2巻で、トオルはどこに向かうのだろうか。2012/08/09
zero1
453
【死んでこそ 浮かぶ瀬もあれ ノモンハン】すべては電話から始まった。30歳の岡田は法律事務所を退職し自由な生活。行方不明の猫を探しに行き、笠原メイと出会う。そこには井戸が。妻クミコとその兄、綿谷ノボル。謎の加納姉妹。そして本田の戦友、間宮が語るノモンハンの凄惨な描写。叔父が経営するバーの話は春樹の経験?「国境の南、太陽の西」にも通じる。久々の再読だが、春樹の世界に引き込まれた。いくらでも読んでいられそうだ。朝日新聞による平成のベスト30で第10位。コロンと遺品は伏線なのか?第二部へ続く。やれやれ。2019/05/03
遥かなる想い
401
村上春樹という著名な作家について、なぜか私はあまり読んでいない。巨人が嫌いで阪神が 好きという人格にも関連があるのかもしれない。本書では綿谷昇が存在感を発している。ノモンハン事件を題材にしているらしいが、戦争の凶暴な暴力を巧みに描ききっている。2010/04/28
ehirano1
349
もうね、情報量多過ぎwww。「謎の女」「いなくなった飼い猫」「ノモンハンの回想」そして「ねじまき鳥」。これらはどう繋がっていくのか楽しみで仕方ありません。2024/07/06
HIRO1970
332
⭐️⭐️⭐️村上さんの94年の作品です。ちょうど20年前ですが、古さは全く感じません。村上さん独特の摩訶不思議な時空間を堪能出来て久々にワクワクする長編です。それにしても村上ワールドでは心の隙や時空間の隙間に潜む危うさを驚くべき自然さで表現してくれます。凄いパワーですね。第2部が楽しみです。2014/05/11