出版社内容情報
老いを生き、描く76歳作家の「純」漫画!
舞台は高度経済成長期に建てられた団地。現在そこにはひとり身の老人たちがいつか訪れる孤独死、「ぼっち死」を待ちながら猫たちと暮らしている。
そんな彼女らが明日迎える現実は、どんな物語なのかーーー
自らも団地に暮らす76歳の著者が描く、私たち全員の未来にして、圧倒的現在。
『夕暮れへ』にて日本漫画家協会賞優秀賞、文化庁メディア芸術祭マンガ部門収集賞を受賞した齋藤なずな、渾身の最新作。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ryohjin
15
古い大きな団地に暮らす独り暮らしの高齢者の日常が描かれています。団地の人と立ち話をしたり、猫の相手をしたり、亡くなった伴侶を思い出したり、そんな姿が描かれますが、途中で亡くなる人もいます。生と死のあわいに少し足を踏入れかけているかもしれませんが、暗い毎日にはなっていません。それぞれが自分の人生を生き抜いてきて、肩の荷をおろしたからなのでしょうか。自分も10年くらいで追い付く年代の生活に感じ入るものがありました。団塊の世代が後期高齢者になり来年日本は5人に1人が75歳以上となります(2025年問題)...2024/12/22
ひみこ@絵本とwankoが大好き♪
13
急に目眩がして倒れてそのまま…なんてことが明日は我が身の私にとって身につまされる作品だった。何もかもみーんな順ぐり順ぐりなんだよね。という最後の1ページがすべてを物語っている。読んでよかった。2024/08/07
ぐっち
11
かつてのニュータウンで暮らす老人たち。ニュータウンのご婦人方のおしゃべりで綴られていく日常は、これから自分もこんな感じなのかな、と思わされる。たしかに「ぼっち死」もあるけどそれすらも日常の延長にある。2024/06/15
ムーミン2号
9
表紙を遠くから見ると上段の人物は若い人のようにも見えなくはないが(実際はどうなのか?)下段の手はさすがに老いた感じは否めない。そんなご老人が多く住んでいるこれまた随分前には流行ったニュータウンとかいう団地のお話。タイトル通り「ぼっち死」がいくつかあるし、急に眩暈がして倒れるとか麻痺が起こるなんて描写もある。経験のある人は身につまされるだろうし、ある程度以上の年齢を重ねた者たちには、とても他人事とは思えないオハナシの数々。ただし、割と明るく描かれているのは「ぼっち死」がテーマではないからだろう。2024/03/23
クズンヌ
4
漫画といえば、中条省平さんの朝日新聞連載のコラムがいつも気になる。私もシニア世代に達し、年齢が近いためか氏の取り上げる漫画のテーマ性に共感する機会も増えた。その中の一冊。 「ヒロシのぼっちキャンプ」なるBS番組があるが、あえてソロキャンプとしないところがいい。本作もタイトルからしてペーソスを効かせている。孤独死と言ってしまうと現実に過ぎて哀しみが伝わらない。 漫画家で大切なのは観察力と想像力だなとつくづく思う。タッチは直裁的というよりも観念的な運び。巻末の後日談は先ずホロっとして、最後に納得させられた。2023/04/29