出版社内容情報
悲しみや怒りに囚われた時に人は…!?
慢性期病棟での研修が終わり、通常業務に戻った夜野。
彼女が診察や訪問先で向き合うのは……
彼氏に求められたい琴音さん、
子を失って10年、朝ごはんを作り続ける母・波子さん、
怒ると人を打ち負かしてしまう飛鳥さんなどなど、
自分の感情に悩み苦しむ人たち。
そして、医療者として患者に抱く自らの感情に
相対することになる夜野さんだが…!?
【編集担当からのおすすめ情報】
今巻は、「愛着障害」「複雑性悲嘆」などなど
自分の感情に葛藤する人たちのエピソードが中心に収録されています。
また看護師になって4年目を迎えた夜野さんも、
自分が抱いてしまう感情からは逃れられないのです。
誰にとっても他人事ではない“感情”の向き合い方、
この作品を読んで、自分だけじゃないと思ってもらえたら嬉しいです。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
yoshida
63
複雑性悲嘆、ホームレスの抱える心の闇、怒りの感情の対処等。自分に置き換えて考えさせられるのは、怒りへの対処。他者はコントロールできない。また、他者の考え方や常識は自分とは違う。そもそも常識は自分の主観によるもの。頭で理解はしている。私の場合は仕事で怒りを覚えることが多い。仕事では悔しさや怒りが原動力になることもある。だが、怒りの対象ではなくても、周囲の他者は愉快ではなかろう。怒りと言う感情を適度にコントロールすることは大切だと思う。自分も疲れないしね。エンプティチェアの手法は有効と思う。気付きがある作品。2022/06/18
かっぱ
33
心が壊れてしまった人たちに寄り添うこころのナース夜野さん。どのケースも現代という時代を象徴しているよう。抱えているのは喪失感。どこで、何を失ったのかは人それぞれ。失くしたものばかりに囚われていると、いま持っているものに気づけなくなる。2022/06/20
モルテン
11
路上生活者のエピソードがあまりにもリアルで、作者さまは実際に話を聞き、歩いたんだろうなと感じた。精神科ナース4年目にして「精神科のこと、だいたいわかったなぁ」と思う夜野さん、先を見通しながらも常に目の前にいる人は唯一無二の人。わかったと思ったとたんに逃げていくもの。次巻楽しみだ。何より次巻予告に「医療観察」の言葉が。うう、期待大だ。2022/07/10
ささのは
10
失礼だがこの漫画家さんは絵は上手くない。でも味がある。物語にはさらにしみじみとした味がある。不器用に切った具材が入ったお味噌汁みたいなものだ。気安いお椀に入っているものの、見た目から想像するよりずっと滋味にあふれてる。苦味もエグみも時に感じられるが、刺々しくはないので複雑な味を楽しめるだろう。心を病む患者さんたちに寄り添う主人公の等身大のあり方や、人目に触れない患者さん達の苦しみが淡々と書かれているのが静かに胸に迫ってきて、何度も読み返した。2022/06/23
てつ
3
少しのわかってきた感とそこに潜む落とし穴。いろんな人、いろんな症状、ちょっと怖いがそれが現実。考えさせられる2024/06/20