出版社内容情報
青年将校達が暴挙に出る!!
昭和7年5月15日――
「国家改造」を達成するためには
君側の奸を撃たなければならない。
若き青年将校達の
純粋な想いがその日、
彼らを暴挙へと
突き動かしていく!!
【編集担当からのおすすめ情報】
世に言う5・15事件が勃発!!
この青年将校達の暴発は、
此の国の進む道にどういう
影響を与えるのか!?
そして舞台はスイス・ジュネーブへーー
国際連盟の場で、日本はどこへ向かう!?
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アキ
93
昭和7(1932)年5月15日チャップリンが来日する最中、海軍若手将校が首相官邸にて犬養毅首相を襲撃し殺害した(五・一五事件)。海軍元帥東郷平八郎が天皇に報告。厳罰を考慮も世論は将校に同情的であった。陸軍内では小畑と永田の対ソ連・対中国の論争から「皇道派」と「統制派」へ分裂する。元老西園寺公望は斎藤実首相を指名した。1933年2月ジュネーブで全権大使・松岡洋右が国際連盟を脱退する。松岡は帰国後国民の歓迎を受ける。同年12/23天皇に男児が誕生。日本はとうとうポイント・オブ・ノー・リターンを越えてしまった。2022/09/06
ぐうぐう
36
五・一五事件勃発。当時,来日中のチャップリンが狙われていたことは有名だが,本作でもちゃっかりエピソードとして組み込まれ,効果をあげている。ただ,その後のチャップリンの様子が描かれていないのは,ちと寂しい。一切の容赦をせぬ厳しい処分を望む皇太后に対し,多くの嘆願書の存在を明かす内大臣の牧野。元老・西園寺公望は言う。「国を護るより、己を守る。世間の声に迎合しなければ生きてはいけん…そういうことや」とは言え、その世間の声を作ったのは誰か。昭和は少しずつ、しかし確実に昏き時代へと向かう。2022/06/21
ふじ
21
あぁ、犬養が死んで、国際連盟を脱退してしまった…天皇視点で読む戦争は軍部が憎すぎて。ただ、立場上国民の空気に触れる描写が少ないから、そこを調べつつ読んだ方がより理解が深まりそう。2022/12/04
くさてる
21
時代はどんどん辛く、危うい歴史の場面に突入していく。大きな運命の渦に巻き込まれていく昭和天皇の姿を描く、能條先生の描線は、繊細かつ美しく、力強く素晴らしい。だからこそ、この困難な状況でも皇太子誕生の際の、皇后との場面は暖かく救いにもなっている。でも、これからが本当に昭和天皇の生涯のキモとなるので……。先を知っていても本当に気になります。戦後の象徴となったお姿を、能條先生はどのように描写するんのでしょうか。2022/09/11
のぶのぶ
15
中国かソ連か。経済制裁、国際連盟脱退などの言葉を聞くと、今の情勢が思い浮かぶ。何とかしたいし、世界大戦の引き金は引きたくない。犬養毅首相が暗殺され、軍が台頭してくる。天皇自身の思いや考えが通らなくなってくる。抑止力になっていかない。そんな中、親王の御誕生。でも、ひたひたと戦争への足跡が近づいてくる。「空母いぶき」「アルキメデスの大戦」「アンゴルモア」など、似たような話を読んでいくと、ロシアとウクライナの問題が日本にも関わってくる、世界の危機が心配される。考えさせられる。2022/06/05