出版社内容情報
期待の新人が突きつける選択!
ぶ厚い雲に覆われ陽が差さなくなった遥か未来の地球。
植物が枯れ酸素も薄くなった世界。
しかし人類は、人を植物に変える技術を開発し、わずかな酸素を作り出して生き延びていた。
先の見えない世界でも人として生きるか、苦しみを捨て植物として新たな生へ踏み出すか。
人々は選択を迫られるーー
【編集担当からのおすすめ情報】
スペリオールに現れた鮮烈なる才能!
その圧倒的画力と、不穏な空気を纏う世界観に酔いしれること間違いなしです!
この機会にぜひご覧ください!!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
空のかなた
21
こちらを打ちすえるような画の塊と世界観。太陽も酸素もなく、厚い雲に覆われ夜と冬しかない未来。転花という技術で人間に種を埋め込み、時間をかけてグロテスクな植物にしてしまう。それは酸素を産みだし人間を生かすための科学。そして完全に植物となる前の数年間を悔いなく過ごせるよう対価1000万円が払われる。転花希望者は余命僅かな者という条件があるにも関わらず、貧困に追い詰められた者は、自ら工業廃水を飲み身体を毒することさえ厭わない。そうでもしなければ「転花」は認められないから。行き場のない絶望と一筋の光。2022/05/17
しましまこ
17
『転花』人間を植物に変える…病気で木になるんじゃないんだよ。植物も育たない光の差さない世界、酸素確保のため人間を植物に変えるってエグエグですよ。貧困から1千万円で転花手術を受けた主人公は完全植物化した『霊花』の声が聞こえるようになり…面白い。2021/10/27
緋莢
9
<〝転花”とは植物の代わりになるように人を植物に変える技術のことである。死期の近い者の肉体に〝種”を埋め込んで その者の魂を糧に植物が成長する。転花した人間は約2年の時をかけて様々な植物になる>厚い雲が日の光をさえぎり、100年が経った世界。冬と夜ばかりが続き、ほとんどの植物が枯れてしまったため〝転花”により生まれた植物、〝霊花”が微弱な光で生み出す酸素によって、人々は生きていた(続く 2024/12/11
kanon
5
第一話の絶望がもの凄い。しかしここまで絶望描写を描くからこそ、伝わってくる説得力のある何かがある。これからが楽しみな作品が増えた。絵はもしかしたら苦手な人いるかもしれないけれど、自分は大好きだ。2021/04/29
TaHi
5
素晴らしい世界観。近未来と言っていいか微妙な2300年、世界の空は絶えず雲に覆われ日光がささないため植物が死滅し光合成から得られる酸素が激減した状況の中、人が植物化する技術が開発されその人植物が発する酸素を吸って人々の生活が辛うじて成り立っている。そのような舞台で、人植物になる人々の背景に現代と似た社会問題が重ねられ、彼らの微かな声を聞き取れる能力を偶然身につけた主人公と彼らの関わりの中で切ないストーリーが展開されぐっと引き込まれてしまった。名作の予感。2021/04/07