出版社内容情報
それは愛なのか暴力か。家族神話に切り込む
2008年、筆者は日本初となる加害者家族の支援団体を立ち上げた。
24時間電話相談を受け付け、転居の相談や裁判への同行など、彼らに寄り添う活動を続けてきた筆者がこれまでに受けた相談は3000件以上に及ぶ。
対話を重ね、心を開いた加害者家族のなかには、ぽつりぽつりと「家族間性交」の経験を明かす人がいた。それも1人2人ではない。筆者はその事実にショックを受けた。
「私は父が好きだったんです。好きな人と愛し合うことがそんなにいけないことなのでしょうか」(第一章「父という権力」より)
「阿部先生、どうか驚かないで聞いて下さい……。母が出産しました。僕の子供です……」(第二章「母という暴力」より)
「この子は愛し合ってできた子なんで、誰に何を言われようと、この子のことだけは守り通したいと思っています」(第三章「長男という呪い」より)
これほどの経験をしながら、なぜ当事者たちは頑なに沈黙を貫いてきたのか。筆者は、告発を封じてきたのは「性のタブー」や「加害者家族への差別」など、日本社会にはびこるさまざまな偏見ではないかと考えた。
声なき声をすくい上げ、「家族」の罪と罰についてつまびらかにする。
【編集担当からのおすすめ情報】
社会的弱者・少数者をすくい上げる活動を続け、これまで『息子が人を殺しました』(幻冬舎)や『高学歴難民』(講談社)などを執筆してきた筆者が今、届けたいと渾身の力を振り絞って綴った最新作です。
「近親性交」というタイトルにギョッとさせられるかもしれませんが、そうして目をつむってきたことが、令和になっても家族間における性交のみならず、家族間での犯罪がなくならない理由のひとつなのかもしれません。読んでいただければ、決して他人事ではないと思っていただけるはずです。まずは「知る」ことから始めませんか。
内容説明
“本書で綴っているのは、加害者家族との関わりの中で露呈した事実であり、これまで明るみに出ることはなかった家族の闇である”。長年にわたり犯罪の加害者家族支援を行ってきた著者が、これまで頑なに沈黙を貫いてきた「近親性交」当事者たちの心の奥深くに分け入り、自ら関わった具体的な事例を提示。「家族神話」の弊害を詳らかにし、家族という密室から助けを求める叫びに蓋をしてきた日本社会のタブーに風穴を開ける。
目次
第一章 父という権力(息子が殺人犯となった理由;家族の敵は家族;父と娘の対立;父子性交の実態)
第二章 母という暴力(無期囚と家族;息子の子を出産した母;性犯罪者の母の責任;母子性交の実態)
第三章 長男という呪い(姉による性暴力;傷ついた者たち;きょうだい性交の実態)
第四章 近親性交で生まれた子どもたち(近親性交による妊娠;出自を知る権利)
第五章 近親性交が生じる背景(家族による性の束縛;家族の孤立と親密化 ほか)
著者等紹介
阿部恭子[アベキョウコ]
1977年宮城県仙台市生まれ。特定非営利活動法人World Open Heart理事長。東北大学大学院法学研究科博士課程前期修了(法学修士)。2008年大学院在学中、日本で初めて犯罪加害者家族を対象とした支援組織を設立。近年、ノンフィクションライターとして「現代ビジネス」、プレジデントオンラインなどで事件に関する記事を発信。日本文藝家協会会員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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