出版社内容情報
「雨」の字だけで構成した漢字の絵本シリーズ3冊目。大きな自然と、おおぜいの人のいとなみをうつし続けてきたさまざまな漢字の書体は、自分らしい文字を自らの手で書いてみようという意欲をあたえてくれる。
4000年前に描かれた「雨」の漢字は、雲と、そこから落ちてくる雨つぶしか描かれていなかった。自然を素直にうつした、しかし、はっとするほど新鮮な文字である。また、中国の清時代には、雨のしずくを表すつくりの中の点々が、今のように2つずつではなく、なんと3つずつだった。なかには、この点々が実に22個も書かれている「雨」もある。 こうした、ユーモラスで機知に富んだ文字たちを見ていると、画用紙にスケッチでもするように、自分の気分をうつす文字を、自身の手で書いてみようという意欲をあたえてくれる。憂鬱な梅雨の長雨、いさぎよい夕立の雨、恐ろしいけれど少しワクワクする雷雲……これらが全部おなじ「雨」でよいのだろうか。ワープロやパソコンなど、優れた代書機器が発達し普及していく中で、手紙や日記など、自分の気持ちを伝えたり。書きのこしたりするために書かれるものには、やはり手書きがふさわしい。本シリーズには、「大切な言葉は自分の手で書こう」、そんなメッセージも込められている。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
喪中の雨巫女。
14
《図書館‐季節》古い文献の雨の漢字を使った絵本。面白かった。2013/06/28
遠い日
9
「雨」という漢字の歴史。甲骨文、金文、隷書、篆書、雑体書、行書、草書、楷書。様々な時代の「雨」が降る。わたしはなんといっても、隷書が好き。雑体書の飾り文字の「雨」は、まるで踊っているかのよう。2013/09/06
ヒラP@ehon.gohon
5
文字にはいろいろな字体があるのですが、それにしてもこの絵本の「雨」の文字は、さまざまな表情を見せてくれて驚かされました。 中国の文字、良寛さんが書いた文字、雨に対する思いが込められていると思いました。 文字というよりも絵画に近い世界でした。 2014/02/10