出版社内容情報
大嘗祭は皇室の伝統的宗教儀礼である以前に、稲作を基本とした民俗行事の集大成である。本書は、従来の諸説に検討を加え、民俗文化論から展開する大嘗祭論です。
大嘗祭は皇室の伝統的宗教儀礼である以前に、稲作を基本とした民俗行事の集大成である。民間の初穂儀礼における稲魂の生育を促すための添い寝、冬至の日の太陽の死と復活、すなわち魂の衰えを蘇らせる、篭って再び誕生する、モガリの死者と同衾して威霊を引き継ぐ、これらの要素を複合させ再構成したものが大嘗祭である。従来の諸説に検討を加え、民俗文化論から展開する大嘗祭論。
内容説明
古来の民間習俗を意図的に再構成した大嘗祭。柳田、折口ら諸説の検討に加え、南島および周辺諸国の初穂儀礼の民俗との比較を通じて、大嘗祭の成立過程を追究する。
目次
第1章 大嘗祭の彼方(文字暦以前の社会;秋収期が年の折目;王位継承儀礼の四つの段階 ほか)
第2章 穂の祝祭(大嘗祭の抜穂行事;八重山の初穂儀礼;マライ地方の初穂儀礼と「稲の産屋」 ほか)
第3章 「まどこ・おふすま」論をめぐって(モガリとモヤ;大嘗祭の神座;神祭の大廷;大嘗祭の二重構造 ほか)
第4章 劇としての大嘗祭(柳田国男の見解と四つの提案;複眼の思想を ほか)