出版社内容情報
「豪華な馬具と武器を帯びた渡来人によって日本は征服された」とする考古学者・江上波夫の騎馬民族説に対して「日本人は一貫して農耕民族であった」と主張する佐原真が真っ向から大激論。日本と日本人のルーツに迫る幻の名著、待望の復刻。
「豪華な馬具と武器を帯びた渡来人によって日本は征服された」とする考古学者・江上波夫の騎馬民族説に対して、「日本人は一貫して農耕民族であった」と主張する佐原真が、真っ向から大激論する。肉を食べる、血を飲む、犠牲を捧げる、去勢をする、宦官がいるなど、遊牧民族ならではの生活習慣が、日本では希薄なことを根拠にする佐原。頑固に、あくまでも騎馬民族征服王朝説を唱える江上。二日間にわたる大激論の逐一を紙上再現した。騎馬民族説という言葉は知っていても、その何たるかを知る手掛かりとなるのは、もはや本書のみである。まさに幻の名著の復刻といえる。また、京都大学名誉教授で橿原考古学研究所所長の樋口隆康氏の解説で、より理解を深めてもらいます。
内容説明
日本と日本人のルーツに迫る。白熱の大激論!渡来人に日本は征服されたのか!?一貫して農耕民族であったのか!?騎馬民族征服説を知る唯一の手引書。
目次
騎馬民族がやって来た
考古学との出会い
モンゴルの遊牧生活
遊牧民が騎馬民族になるとき
農耕民族と騎馬民族
騎馬民族説の背景
日本人は去勢を知らない
天皇家の系譜
高松塚から藤ノ木へ
稲作を伝えた人びと―騎馬民族前史
日本人は騎馬民族か―おわりに
著者等紹介
江上波夫[エガミナミオ]
1906年、東京生まれ。1930年、東京大学文学部東洋史学科を卒業。東方文化学院研究員として、戦前戦中にかけてモンゴルの遊牧地帯を実地調査する。1948年、騎馬民族征服王朝説を公にして、天皇は日本の伝統的な王家であると信じてきた日本人に衝撃を与える。その後、アジア各地で発掘調査を指揮し、戦後の国際文化交流に尽力する。1991年、文化勲章を受章。東京大学名誉教授、古代オリエント博物館館長、日本オリエント学会会長などを歴任。2002年、逝去
佐原真[サハラマコト]
1932年、大阪生まれ。小学生のときから熱心な考古少年であった。大阪外国語大学でドイツ語を学んだ後、京都大学大学院で考古学を専攻。奈良国立文化財研究所に入り、発掘と研究につとめる。1993年、国立歴史民俗博物館副館長となり、1997年から館長に就任。2001年8月に退官、2002年、逝去。弥生時代が専門だが、世界の中での日本文化の特質を考察したり、古代の人の営みと結びつけて現代の問題に対して発言することに力を注ぐ
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