出版社内容情報
日清戦争に始まり、10年ごとに繰り返された対外戦争で失われた無数のいのち。帝国日本の発展の陰で犠牲にされたこうした人びとの「生」の実相に徹底的に寄り添うことで、国益や国家目的の名の下に、人びとのいのちに序列をつけ、一方は優遇し一方は抹殺するという、いのちを選別し、管理し、支配し、動員してきた国家の実態をあぶり出す。さらには、この時代の「いのちを生き抜いた」人びとの言葉に耳をかたむけ、具体的には、兵士が見た戦争像や米騒動の実態、アジア諸国の人びととの関係、つまり戦争・デモクラシー・アジアの三つの視角から新たな近代史像を掘り起こし、いのちの基盤が弱まりつつある現在社会を考える手だてとする。
小松 裕[コマツ ヒロシ]
著・文・その他
内容説明
日清・日露戦争で序列化された人びとの「いのち」。帝国主義の発展と重みを失う一人ひとりの生命。
目次
はじめに 「いのち」の序列化
第1章 「いのち」と戦争(向田邦子の祖父の体験;日清戦争―文明国への「入学試験」 ほか)
第2章 「いのち」とデモクラシー(川岸きよの米騒動;足尾銅山鉱毒事件―もうひとつの「近代」 ほか)
第3章 「いのち」とアジア(霧社に立つ;韓国併合―植民地帝国へ ほか)
著者等紹介
小松裕[コマツヒロシ]
熊本大学教授。1954年山形県生まれ。早稲田大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得退学。博士(文学)。専攻は日本近代思想史。田中正造と足尾銅山鉱毒事件の研究に三〇年以上取り組み、田中正造の思想を軸に日本近代思想の可能性を追究している。在日朝鮮人史の研究や、女性史・ジェンダー論にも深い関心を寄せる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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樋口佳之
nnpusnsn1945
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