出版社内容情報
極端な長身化や遠近法の誇張。冷たく鮮やかな色調を特色とするマニ エリスム美術。優美なポントルモ、フランスのフォンテーヌブロー 派、さらにブリューゲル、エル・グレコ、国際マニエリスムのアルチ ンボルドなど紹介。
若桑 みどり[ワカクワ ミドリ]
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森 洋子[モリ ヨウコ]
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
311
ルネサンスとバロックの間に位置するマニエリスムという概念は、ようやく20世紀半ばになってからのものであるようだ。巻頭はポントルモから。そして、それはパルミジャーノ、ブロンズィーノと受け継がれて行くのだが、素人目にはルネサンスの末裔としか見えず、バロックの片鱗さえうかがえない。これが16世紀末スペインのエル・グレコあたりになってくれば、さもありなんと思われ、なるほどマニエリスムというのは例えばこういうものをいうのかと、なんとなく納得するのである。ところが、ピーテル・ブリューゲルは、私の中では北方ルネサンス⇒2023/02/26
KAZOO
126
マニエリスムというのはルネサンスとバロックの間に位置するものとしての様式概念ということを最初に若桑先生がおっしゃられています。イタリアにおける絵画、建築、彫刻、工芸などミケランジェロやチェッリーニなど錚々たる人物がいます。スペインのエル・グレコ、ネーデルランド美術についてはブリューゲルがご専門の森洋子さんが書かれていて参考になります。2017/01/29
白義
9
ルネサンス最盛期の巨匠たちの後を受け生まれた、その手法へのこだわりや歴史からの引用、それらを駆使した独特な精神と肉体の過剰などを特徴とする16世紀マニエリスム美術を概説。ポントルモやエル・グレコ、正確にはマニエリスムに収まらないがブリューゲル一族などが収録されていて、見た目になんだかカラフルだったりモリモリしたものが多い。方法への自省的アプローチによる圧縮的な奇想、寓意という点で、マニエリスムを普遍精神史的な概念として捉える論者がいるのも納得できる世界だ2013/02/16
OKKO (o▽n)v 終活中
4
大学図書館にて「庭園」の項をコピー。◆若桑みどりセンセの「彫刻」解説あり。◆編入1年経ち、卒論も始めてるのにやっと読んだ不甲斐ないワタクシ。◆ボマルツォが載ってたのが嬉しい♪♪2013/04/29
Eu
1
月報の若桑みどり先生の「美術史家も、創造という秘密に立ち会うからには、画家の目、目はすなわち心ですから、すなわちそれは頭脳ですから、それを逆にたどって、画家の目の中に降りて行って、画家が世界をどう見ていたかを、目と頭脳をもって緻密に取り組んでいくことが必要ですね。」(p.4)という言葉がよかった。「画家の目に降りて行く」!2023/12/13