出版社内容情報
遊里に通いつめ放蕩三昧のかぎりを尽くしたあげく今や貧乏暮らしをする元お大尽たちの人生を、鋭い人間観察の境地をさらりと描いた井原西鶴最後の作品。他に「椀久一世の物語」併録。
元禄6年(1693)に没した井原西鶴の絶筆で、弟子により没後に出版されたもの。巻頭に「人間五十年の究り、それさへ我にはあまりたるにましてや」の詞書とともに「浮世の月見過しにけり末二年」の辞世の句が載っている。 前書に「およそ男という男が一度はやる女郎買いをとことんまでやり抜いて、身をほろぼした連中の行く末をもれなく書き集めてみた」とあるように、デビュー作「好色一代男」のような放蕩三昧をしたあげく、いまやどん底の生活に落ちた元大尽たちのエピソードを次々と記し、落魄しても人間の性格はそう変わるものではない、それなりに生きていくのだという境地を描いている。 世話をした太鼓持さえ傘を貸してくれない貧乏暮らしに、見栄をはるのはやめて一人草庵に暮らすようになった大坂町人の話。「女郎買いに三代なし」という通り、親子三代で京都一の財産を遊びつくした話。貧乏になってもやめなかった年に一度の参詣で、宿の女中と仲よくなり帰りの舟賃まで渡して大坂まで歩いて帰り「こんなみじめな身の上になってもやまないものは好色です」と語るオヤジの話…。一話一話が現代のわれわれにも、しみじみと身にしみるエピソードで、西鶴の人間観察の素晴らしさが伝わってく
内容説明
時は元禄、バブルの世。意地がからんだ恋のたてひき。好いた女に費やす家産。店を傾けようと妻子に見限られようとも悔いぬ人生。せつない心をおもしろく読ませる現代語版西鶴作品。ポスト・バブルの時代にうってつけ。
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