小学館文庫<br> 戦中派焼け跡日記

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小学館文庫
戦中派焼け跡日記

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  • サイズ 文庫判/ページ数 429p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784094086348
  • NDC分類 915.6
  • Cコード C0195

出版社内容情報

昭和21年の日本を克明に綴った傑作日記。

昭和21年。のちに山田風太郎として、さまざまな人気作品を世に送り出すことになる希代の物語作家は、そのとき、24歳の医学生だった。勉学に勤しみながらも、大量の本と映画に囲まれていた。
〈吾々はこの前途に全く光のない暗黒の惨憺たる日本に生きている。聞こえるもの飢餓の呻きと「戦争犯罪人」への罵倒と、勝利者への卑屈な追従の声ばかりだ〉
激変する情勢、占領下での厳しい暮らし、東京裁判と天皇の巡幸、変節する人々の価値観……。
激動の一年を克明に綴りながら、透徹した目で何を見、何を考えていたのか。 第一級の昭和史資料が、ついに文庫化。
『戦中派虫けら日記』『戦中派不戦日記』に続く、山田風太郎の戦後日記の第一弾。

内容説明

昭和二十一年。のちに希代の物語作家となる山田風太郎は、そのとき、二十四歳の医学生として多忙な日々を送っていた。医療の勉強をしながら、大量の本を読み映画を見る日々。青春の只中にいた医学生・山田誠也の透徹した目から、激動の一年を鋭く克明に炙り出した貴重な昭和史資料が、六十五年の時を超えてついに文庫化。『戦中派虫けら日記』『戦中派不戦日記』につづく山田風太郎戦後日記の第一弾。

著者等紹介

山田風太郎[ヤマダフウタロウ]
1922年、兵庫県生まれ。東京医科大学卒。46年『達磨峠の事件』で作家デビュー。49年に日本探偵作家クラブ賞、97年に菊池寛賞、2001年に日本ミステリー文学大賞を受賞。伝奇小説、推理小説、時代小説、エッセイと幅広いジャンルを執筆。01年7月没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

みや

13
医学生・山田青年の昭和21年の日記。敗戦・占領により味わう屈辱、空腹、大混乱…。絶望の青春時代に苦闘する一人の若者の生々しい姿が伝わる。米国には戦力での完敗を認め、同胞のみすぼらしさを嘆きながらも、「今は頭を下げて復讐の時を待つべし」と繰り返し記す激情に驚くが、敗戦直後には多くの学生が持っていた普通の心情なのだろう。若き日の先生の、若さゆえの浅薄な物言いと何者にかならんとする気概との同居が微笑ましい。2023/06/24

みっちゃんondrums

10
昭和21年、山田風太郎は24歳の医学生。敗戦直後の日本の状況が生々しい。「聞こえるものは飢餓の呻きと『戦争犯罪人』への罵倒と、勝利者への卑屈な追従の声ばかり」「将来、日本は再び武器を取ることを憲法に誓うであろう」などの静かで鋭い目がいいな。また「誰かを愛するなどということ自身が勘違いから成立している」などの考察が面白かった。読んだ作品を「くだらぬ」と言い切ってしまうのも好ましい。2015/04/18

ヨーイチ

9
終戦直後の昭和21年の日記。交通とか物価とか食料、娯楽(よく映画をみに行っている)とか、庶民の生活大全の趣。生の日本人。何度も出てくる『復讐』という思い。表層的なアメリカ讃歌に背を向けて勉強と読書(多読)を続ける青年はまだ山田風太郎にはなっていない。2011/08/28

電羊齋

4
昭和21年の日記はかなり感情的で悩み多き内容。米国とソ連など戦勝国に復讐心を燃やし、東京裁判に憤り、先の見えない日本の現状を憂い、生活に苦しみ、物価高と物不足を記録する。古い日本に批判的ではあるが、しかし米国から与えられた制限付きの自由にも喜べない。ニヒルで天邪鬼であろうとするが、そうはなりきれない戸惑う山田誠也青年。一方で多くの映画や小説に接して批評し、さらには小説の投稿も始めるなど、後の作家山田風太郎の片鱗もうかがえる。2020/11/02

おやぶたんぐ

3
当時の筆者の認識は最低最悪の日々。後の筆者は再起新生の時代と語る。ともかく彷徨する思索と目前の糧に懸命な生活、合間に入る読書、映画。そしていよいよ始まる著作活動。2022/11/16

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