内容説明
93年に発表された「文明の衝突」理論は、その後のコソボ紛争、さらに東ティモール紛争でその予見性の確かさを証明した。アメリカ合衆国の「21世紀外交政策の本音」を示して世界的ベストセラーとなった「原著」の後継版として、本書は理論の真髄を豊富なCG図版、概念図で表現。難解だったハンチントン理論の本質が、一目のもとに理解できる構成とした。その後九九年に発表された二論文を収録、特に日本版読者向けに加えた「21世紀日本の選択」は、単行本「文明の衝突」の読者必読の論文である。
目次
二十一世紀における日本の選択―世界政治の再編成(冷戦後の世界;パワーの構造;文化および文明的観点から見た孤立国家・日本の特徴)
孤独な超大国―パワーの新たな展開(パワーをめぐる国際関係;アメリカは慈悲深い覇権国ではない;無法者の超大国 ほか)
文明の衝突―多極・多文明的な世界(多極化・多文明化する世界;文明の性質;現代の主要な文明 ほか)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mitei
229
当時の国際情勢を見て確かに日本は独自の国だったけど段々とそれだけの国になって来てるし、後書きの識者が頓珍漢な事を言ってたが中国はアメリカと並んでもはや世界大国レベルの国にまで成長してるのがこの20年で変わった要素かなぁ。ここから同時多発テロ、イラク戦争からのテロとの戦い、アメリカのモンロー主義復活とアメリカも超大国と言いつつその座を降りようとする意志も出てきてるし、本書発表時とは異なってきてるイメージ。2019/11/24
KAZOO
108
この本はハンチントンの「文明の衝突」理論をわかりやすく説明したものでかなりのベストセラーとなった本だと思います。フランスのテロなどもこの理論などによってかなり証明されるのではないかと思われます。昔読んだのですが、ニュースを聞いて再読しました。ただ単純なアラブ系の移民とIS国の問題ばかりではないと思われます。本当は彼の書いたオリジナルを読むのがいいのでしょうが。2015/11/21
ころこ
51
9.11が本書及び『文明の衝突』の予言を成就しているのは驚きです。本書の時点でも、アメリカが衝突する異文明として挙げられているのはイスラムと中国です。「そんなの知ってるよ」というのはたやすいです。それでは、それまでの世界の対立がイデオロギーの対立といわれ、それがマルクスか非マルクスかということであり、「文明の衝突」はマルクス主義という「大きな物語」の失効をいい当てているということを、どのくらい理解しているのか。本物の知識人の条件が「みえないものをみる」ことだとすれば、著者はまず挙げられる重要人物でしょう。2019/06/10
Willie the Wildcat
33
国家を超えた文化。民族、宗教、言語・・・。文明での差異が、境界線を更に複雑にする。交差領域の有無。然るに、日本。日本の唯一性を活かす戦略と胆力!興味深いのが、北朝鮮と韓国、そして中国と台湾。既得権益、思想、そしてIdeologyなどの壁を取り除くきっかけとは何か・・・。日本を含めた東アジアの情勢。世界の変動・変遷に興味は尽きない。生死を伴う変化が最小限であることを望むのみ・・・。2014/01/11
さきん
32
超大国アメリカの普遍的な自由と平和は幻想であり、現実は、葬り去られたと思われた民族、宗教、人種間の対立が再燃した。それを、アメリカの主流インテリを占める著者が推測したということで、「歴史の終わり」を記述したフランシス・フクヤマと対極をなす。日本と中国を違う文明圏として分類し、中国が大きくなれば日本がそっちになびくという予想は外れたが、大きく失敗した国に対する非難、経済制裁を一番早く始めるのが早いという指摘は、対ロシア対応を見ていると当たっている感じがする。2022/04/03