出版社内容情報
ジャズピアニストが綴る、笑えて泣ける青春放浪記。バブル期の銀座、高級クラブでピアノ修行をする青年が見たものは? 乱舞する夜の蝶、海千山千のバンドマン、「さる組織」の幹部たちに囲まれて南青年は奮闘する。
内容説明
人気ジャズ・ピアニストが綴る、修業時代の回想記。真面白なクラシック少年は突然ジャズに目覚め、学校をドロップアウトして「夜の世界」へと向かった。小岩のキャバレー、六本木のバー、そして銀座の高級クラブのピアニスト。青年の回りには美しい夜の蝶たち、海千山千のバンドマンたち、怪しげなバブル紳士たち、そして「さる組織」の幹部たち…。その中で青年は夜ごとに「ゴッドファーザー愛のテーマ」を弾きながら、憧れのアメリカ、ボストンへのジャズ留学を企てる。爆笑そして感動のエピソードが満載された、80年代バブル時代の銀座青春クロニクル。
目次
プロローグ 巨大な寿司桶
1 天空で待っていた奈落(なぜジャズピアノなのか;ピアニスト達 ほか)
2 バブルの銀座―非常階段からの情景(銀座:華の街へ;銀座:大人への儀式 ほか)
3 エクソダス(西荻窪の居酒屋;アプリケーションフォーム ほか)
著者等紹介
南博[ミナミヒロシ]
ジャズ・ピアニスト。1960年5月15日東京生まれ。東京音楽大学、バークリー音楽大学卒。「南博トリオ」「GO THERE!」を主宰(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
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56
🌟🌟🌟🌟🌟(ややオマケ)10月に公開予定の映画の原作エッセイ。これぞ、まさに『REAL BLUE GIANT』。6歳からクラシックピアノを始めた著者がJAZZに出会い衝撃を受け、以降とにかくピアノを弾ける場所を見つけそこにしがみついては弾き続けてきた彼が辿り着いた場所、そこはバブル真っ只中の銀座の超高級クラブだった。「面白い」「カッコいい」「羨ましい」「憧れる。」全てがこの4つの言葉に集約される。素晴らしいエッセイ。印象に残った箇所に付箋を貼ったら付箋だらけになった。近日、著者のライブ鑑賞予定。2023/06/04
マリリン
49
文体は好みでないが面白かった! 著者の演奏は聴いた事がないが、時代は多少違っても特に銀座は懐かしい。日航ホテルやその裏の道沿いにあるクラブやライブハウス、今は様変わりしただろうと思いつつ昼間と夜の風景が全く違って見えるのが銀座。裏で仕切る人間がいるような高級クラブでの仕事はハコでは経験がないが、楽譜を持ち掛け持ちはある。当時を想い出し爆笑しながら読んだ。バークリー...あの頃は業界のステータスだったのか? お客様がいない時間は練習や譜面書き。夜仕事をするのは疲れ方が違う。英会話の勉強の話は興味深かった。 2023/05/26
ばんだねいっぺい
26
どっかで見かけた瞬間に、ピンと来たが、間違ってなかった。好きな内容だった。ライスワークとライフワークの狭間を飛び越えるには、才能はもちろんのこと、自分で動くってことが必要だと学びました。2023/11/12
シキモリ
23
先日公開された同名映画の原作本で、ジャズピアニストである著者が銀座で高級クラブの雇われピアニストをしていた下積み時代を綴った回顧録。癖の強いバンマスや歌い手を相手に社会の厳しさを学ぶ様子は身につまされるし、ピンチを持ち前の機転で上手く乗り切る様子は痛快である。同世代の人間が決して手に出来ない高給を受け取れる一方、自分の人生はこれで良いのかと思い悩む南青年の姿もまた身につまされる。本書と地続きとなる渡米編もあるらしいが、こちらは入手するのが難しそう。店の重鎮・ジョージさんにまつわるエピソードが興味深かった。2023/10/08
ブラックジャケット
16
ピアノを習うことは、クラシック音楽という権威主義の階段を上ることになる。著者は高校生の時に、キース・ジャレットの即興演奏を聴き、ジャズの魅力に捕らわれた。クラシック音楽の学業的にはマイナスになってしまったが、著者の世界は拡がった。バブル期の夜の銀座のピアニストのエピソードはオモシロ話で満載。そのスジの親分が好む「ゴッドファーザー愛のテーマ」を外連味たっぷりに著者が弾くと大枚のチップが舞い込む。大金を稼いだわけだが、銀座の夜に沈むとことなく、ボストンへ海外留学し、本場のジャズを極める道に進む。お薦め本。 2023/11/20