出版社内容情報
人間の強さと脆さ、愛憎、生と死を透徹した視点から描き続けた作者の、創作活動最盛期の傑作短編を4編収録。作品の根底に流れる人間への厳しくもやさしい視線は没後10年を経て今も読む者の心をとらえて放さない。
内容説明
平穏な家庭に忍び込んでくる死の影を背負った女の息遣いに、家族の信頼と幸福がもろくも崩れ去っていく姿を描いた表題作『死の彼方までも』の他に、『赤い帽子』『足跡の消えた女』『逃亡』を収録。作家活動の最盛期にあった作者が、長編執筆のかたわらで、慈むように世に送り出した珠玉のような傑作中短編集。
著者等紹介
三浦綾子[ミウラアヤコ]
1922~99年。北海道旭川市生まれ。十三年間の療養生活中に洗礼を受け59年に結婚。64年、朝日新聞の懸賞小説に「氷点」で入選し作家生活に入る。キリスト者のまなざしで「愛とは何か」を問い続けた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ちゃま坊
11
短編集。戦前の樺太のタコ部屋から脱出に成功する話「逃亡」を読みたかった。逃亡ドラマは昔から好きなジャンルだ。ハラハラドキドキが続き、成功したときの爽快感がたまらない。他の3編は悪女と不幸な母子の話。★2018/03/21
gtn
5
全編、隣人を信じようとするが裏切られる、隣人を救おうとするが裏目に出るというストーリー。「諦観」という言葉さえ思い浮かぶ。ただ、どれも心に刺さる短編である。2018/01/10
Emma
4
他の三浦綾子作品とは違った作風。重暗く、救いがない感じで…。とはいえ面白い。表題作は最初七重にイライラ、「赤い帽子」はオチが怖い!「足跡の消えた女」は主人公の夫が終始津奈子を庇っていた理由を知りたかった。「逃亡」はとにかくハラハラして、私も逃げるタコのようにすごいスピードで読みきった。2019/12/17
ミカママ
3
三浦綾子さんの中短編集。どの作品も読みやすく、それでいて読後にずしりとくる物語ばかり。三浦さんが亡くなってもう10年以上経つんだなぁ。2012/03/03
あつひめ
3
三浦さんの作品を初めて読みました。生さぬ仲での心の葛藤相手は元妻?子供?それとも夫?道ならぬ恋の犠牲でもっともっと愛をもらいたいと思う子供、人を信ずる心との葛藤、人を人とも思わない扱いをする時代・・・どの物語の中にも人を思いやる心が潜んでいるように感じました。もっと他の作品も読んでみたいです。2009/10/18
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