内容説明
あの夜、ねえさんを妊娠させることができたなら―。渋谷の街に現われる伝説の娼婦・なぎさと出会った男たちは、青春時代に戻り、思い出の女性に再会するという。江戸時代から続く造り酒屋の次男・圭は四十一歳。圭が十八歳で家を出て上京したのは、兄・秀夫の嫁で、子宝に恵まれなかった義姉・文恵の自殺がきっかけだった。その前年の夏、圭は文恵に導かれながら、結ばれる前に果ててしまっていた…。「ねえさん」の死の真相を知った圭は、なぎさと出会い、交わる―あの夏の夜に戻るために。切なく疼く、傑作官能小説シリーズ第四弾。
著者等紹介
重松清[シゲマツキヨシ]
1963年岡山県生まれ。早稲田大学卒業後、出版社勤務を経て執筆活動に入る。91年、『ビフォア・ラン』でデビュー。99年に『ナイフ』で坪田譲治文学賞、『エイジ』で山本周五郎賞、2001年に『ビタミンF』で直木賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
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しんごろ
139
なんだかんだで、時間をかけてシリーズを追いかけている(苦笑)。造り酒屋の次男の圭、家を勘当される。自分が圭の立場なら、酒は好きだが圭と同じ気持ちで家を出るな。とにかく救いようない。その圭も屈折してるけどね。それだもん、なぎさが救いたくなるのがわかるな。なぎさは天使なのか。それとも妖精か。何はともあれ、圭も救われて、圭の家もすくわれ、何より麻衣子が救われたのが、とにかくうれしかったな。フきっと、なぎさに救われたい人は、この世に、たくさんいるんだろうなあ。2024/10/10
まさきち
63
【読メエロ部】今回は渚との絡みは少なく、ほぼ主人公の造り酒屋の次男坊・圭の語りの物語。その中で旧家の縛りの裏で葛藤する長男とその嫁の姿、そしてそんな兄嫁に憧れる次男坊の姿もなかなかいいスパイスとなって楽しめた一冊でした。2017/07/12
りゅう☆
54
「家」によって離婚させられた兄嫁の文恵。彼女との苦い青春時代の思いに縛られたままの圭。「あの時最後までできたなら」という後悔の念。兄の後妻の不遇、恋人の妊娠。色々なことが重なって思い悩んでる時に出会った伝説の娼婦なぎさ。彼女から与えられた媚薬で過去に戻って人生を変える圭。辛い過去に目を背けず、今度こそ真正面から向き合い手に入れる新しい未来。そしてなぎさとはもう二度と会えないからこそ自分の人生に戻りやり直しのできない日々を一歩ずつ進んでいく。と、私好みなストーリー。でも性描写にビックリ。さすが重松さん!2014/12/22
p.ntsk
37
【読メエロ部】「わたしを買ってくれますか」渋谷の裏通りにいるという伝説の娼婦なぎさ。彼女に選ばれた客はめくるめく情事の後、媚薬を飲み青春時代に戻る不思議な夢をみる。1作目は官能小説を意識して書かれたような印象でしたが2作目は重松節とでもいうような人生ドラマの要素が増した気がします(でも官能シーンはしっかりエロ笑)。2つのエピソードとも官能描写がなくても成り立ちそうなお話でした。特に「圭の青春」は昭和の香り漂う昔の日本映画を思わせるようなテイストでした。こうなると次も読んでみたくなります♥(笑) 2018/09/13
となりのトウシロウ
25
なぎさの媚薬シリーズ4作目。今回は、自殺した義姉を救う為に高校生時代に戻る男の話。老舗の酒蔵の「家」に縛られた人達の悲しいまでの運命を変える事が出来るか。このシリーズのお決まりのパターンはそのままでした。一気に図書館で借りたけど、ちょっと食傷気味。このシリーズはもういいかな。2019/02/16
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