出版社内容情報
作家・伊集院静の原点が綴られた自伝的随想
1978年冬、若者は東京駅構内にいた。足元のトランクには数枚の衣類、胸のポケットにはわずかな金しかなかった。入社した広告代理店も一年半足らずで馘首され、酒やギャンブルに身を置いた末に、東京での暮らしをあきらめていた。生家のある故郷に帰ることもできない。
そんな若者が、あてもなく立ち寄った逗子の海岸に建つそのホテルで温かく迎え入れらえる。
「いいんですよ。部屋代なんていつだって、ある時に支払ってくれれば」
見ず知らずの自分を、家族のように受け入れてくれる“逗子なぎさホテル”の支配人や副支配人、従業員たち。若者はそれからホテルで暮らした七年余りの日々の中で、小説を書きはじめ作家デビュー、大人の男への道を歩き出す――。
作家・伊集院静の誕生まで、若き日に向き合った彷徨と苦悩、それを近くで見守ってくれた人々との出逢いと別れ。名門ホテルは平成元年にその歴史に幕を閉じているが、目の前に海の広がるあの場所で過ごした時間は、今でも作家の夢の中に生き続けている。作家デビュー前夜からの大切な場所と時間を振り返り、作家としての原点を綴った貴重な自伝的随想。巻末には、文庫化にあたり書き下ろされた「あとがき」を追加収録。
伊集院 静[イジュウイン シズカ]
内容説明
「いいんですよ。部屋代なんていつだって」東京での暮らしをあきらめ、逗子の海岸に立ち寄った若者を、家族のように温かく迎え入れた伝説の「逗子なぎさホテル」。若者はそれからホテルで過ごした七年余りの日々の中で小説を書きはじめ、大人の男への道を歩き出す―。作家・伊集院静の誕生まで、若き日に向き合った彷徨と苦悩、それを近くで見守ってくれた人々との出逢いと別れ。今でも作家の夢の中に生き続けている大切な場所と時間を振り返り、作家としての原点を綴った貴重な自伝的随想。文庫化にあたり書き下ろされた「あとがき」を追加収録。
目次
白い建物
ワンピースの女
夜の海
波頭
借金
追憶
最終選考
転機
湯煙りの中で
プレゼント
オンボロ船
潮風
帰郷
変わる季節
正午の針
著者等紹介
伊集院静[イジュウインシズカ]
1950年山口県防府市生まれ。立教大学文学部卒業。81年「皐月」で作家デビュー。91年『乳房』で吉川英治文学新人賞、92年『受け月』で直木賞、94年『機関車先生』で柴田錬三郎賞、2002年『ごろごろ』で吉川英治文学賞、14年『ノボさん小説 正岡子規と夏目漱石』で司馬遼太郎賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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